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イヌ・ネコへの「マイクロチップ装着」義務化へ 飼い主の声は…ペットの“飼育放棄”抑止力に期待も

2022年5月11日 21:32
イヌ・ネコへの「マイクロチップ装着」義務化へ 飼い主の声は…ペットの“飼育放棄”抑止力に期待も

イヌやネコがいなくなってしまった時などに、飼い主がわかるようにするマイクロチップの装着が来月1日から義務化されます。実際に、迷子になった飼い犬が、マイクロチップのおかげで見つかったという人もいました。安易にペットを捨てることへの抑止力になるのではと期待を寄せる声も上がっています。

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11日、横浜市にある動物病院の診察室には、様々な理由で訪れる飼い主らの姿がありました。こうしたなか、今、予約が増えているというのが、飼っているイヌやネコへのマイクロチップの装着です。

つるばやし動物病院 つる(「雨」かんむりに「鶴」)林秀貴院長
「比較的、マイクロチップに対する意識は高くなってきているかなというのはあるので、(マイクロチップ装着の予約は)増えていると思いますね」

マイクロチップの大きさは、わずか1センチほどです。15桁の識別番号が記録されていて、専用の機器で読み取るとデータベースから、飼い主を特定できるといいます。

実は、来月1日から、ペットショップやブリーダーなどから新たに購入したイヌ・ネコに対して、マイクロチップの装着や、飼い主らが所有者情報を登録することが義務づけられます。一方で、すでに飼っているイヌ・ネコへの装着については、努力義務となるのです。

つるばやし動物病院院長
「どこかで保護された際にチップを読んでいただくことによって、飼い主さんが特定できるというのは、とても重要なシステムかなと思います」

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では実際、飼い主はどう思っているのでしょうか。

飼い主
「迷子になってどこかに行ったときに、チップでわかるという安心がありますね」

聞いてみると、そのほとんどが、すでにマイクロチップを装着済みとのことでした。17歳の高齢のイヌを飼っている飼い主からは、少し後ろ向きな意見も聞かれました。

飼い主
「若い子はやった方がいいと思う。年をとったらほぼ行かないし、飼い主にくっついて歩いているから、必要ないんじゃないかと」

「マイクロチップの装着」については、次のようなデータもあります。

日本トレンドリサーチによると、「まだ装着していないイヌ・ネコの飼い主」300人以上を対象にしたアンケート(去年12月28日~ことし1月12日)では、「装着させたい」と答えた人はわずか17.6%、逆に「装着させたくない」と答えた人は55.9%、「悩んでいる」と答えた人は26.5%でした。「かわいそう」とか「異物を体に埋め込むのは嫌」といった理由を挙げるなど、不安に思う人が多くいるということです。

その一方で、装着していたことで、すでに効果を実感した人もいます。

長野県に住む坂口さんは3年前、飼い犬である、しば犬のメス・鈴ちゃんが逃げだし、その後、保護されたといいます。

坂口茂美さん
「出社した後に逃げ出したらしいんですけど、お隣のおうちの方が保護していただいて」

その後、登録先の坂口さんの携帯に連絡があり、無事に戻ってきたといいます。

坂口茂美さん
「本当に(マイクロチップが)入っていたおかげで、すぐに帰ってこられることになってよかったです」

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コロナ禍でおうち時間が増え、ペットを飼う人が増加。 ペットフード協会によると、去年1年間で新たに飼育され始めたイヌとネコは合わせて89万匹と、コロナ前と比べて約2割増加しています。その一方で、イヌ・ネコが捨てられてしまうケースも多く大きな問題となっています。

様々な理由で飼育が困難になったペットなどを保護している東京・世田谷区の施設では、イヌ・ネコの約3割はここに持ち込まれる時点で、すでにマイクロチップを装着済みだといいます。今回、義務化となることで、安易にペットを捨てることへの抑止力になるのではと期待を寄せていました。

犬猫譲渡センター・東京支部長
「マイクロチップが入っているから外には捨てられないよね、という抑止力の1つに」

マイクロチップ装着の義務化は、様々な問題の解消へとつながるのでしょうか。