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桜島噴煙がPM2.5濃度に影響?関連は…

2013年11月30日 20:46
桜島噴煙がPM2.5濃度に影響?関連は…

 中国大陸からの季節風で運ばれてくるとされる大気汚染物質「PM2.5」。健康への影響が懸念される中、ここ数年、火山活動が活発な鹿児島の桜島がPM2.5の濃度に影響を与えているという研究結果がまとまり、今後の対策に影響を与える可能性がある。

 ここ数年、活発な火山活動が続いている桜島は、今年に入って爆発的な噴火回数は800回を超え、連日、大量の火山ガスを放出している。

 こうした中、興味深いデータが観測された。PM2.5は中国大陸から近い九州北部や西日本で濃度が高くなる傾向があるが、今年7月の環境省大気汚染物質広域監視システムのデータを見ると、高い濃度を示すポイントが関東や東海地方にも広がっている。

 WHO(=世界保健機関)の組織も発がん性を初めて認定したPM2.5。環境省によると、国内で観測されるPM2.5の多くは中国大陸からの季節風で運ばれてくるとされる。

 仙台市で今月19日に開かれた気象学会で、気象庁気象研究所の環境・応用気象研究部の田中泰宙主任研究官は、PM2.5の濃度と桜島の噴火の関係について発表した。

 田中研究官「火山が噴火すると、二酸化硫黄が大気中で反応することで硫酸の粒子ができる。硫酸の粒子がPM2.5の元になる1つの原因になります」

 さらに田中研究官は、桜島から出た火山ガスが風に乗って東に流され、関東や東海地方などでPM2.5の濃度が高くなったと指摘している。

 火山ガスが風に乗るとどう流れるのか、コンピューターで予測した。

 田中研究官「桜島から日本の南岸を沿うような形で、桜島からの火山ガスが出てPM2.5が高くなる」

 PM2.5が東海や関東に広がり、濃度が高くなっていることがわかった。

 この分析を裏付けるデータが静岡で観測されていた。静岡県内では今年7月、PM2.5の濃度が高くなっている時期と、桜島の噴火が活発になった時期がほぼ一致していたのだ。田中研究官は「火山の影響が、大気汚染の分野では見落とされていた。監視していく必要がある」と話す。

 鹿児島県などは「噴火による火山ガスは、直ちに健康に影響を与えるものではない」としている。しかし、PM2.5の対策が一層重要になる中、国や地方自治体は火山の噴火にも注意を払う必要があるかもしれない。