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論文を取り下げを~STAP細胞共同研究者

2014年3月11日 1:00
論文を取り下げを~STAP細胞共同研究者

 “夢の万能細胞”と呼ばれ注目された「STAP細胞」をめぐり10日夜、研究のキーマンの1人とされる共同研究者が、「論文を取り下げるべき」とする異例の見解を示した。

 「STAP細胞が何だったのか示すことができていない。いったん、論文を取り下げして、本当の論文として、正式に堂々と、誰からも非難されない論文として発表し直した方が」-STAP細胞の共同研究者・山梨大学の若山照彦教授はこのように述べて、突如、論文の取り下げを求めた。

 今年1月、理科学研究所の小保方晴子さんがリーダーを務める研究グループが、STAP細胞をイギリスの科学誌「ネイチャー」に発表した。STAP細胞とは、若いマウスのリンパ球などの細胞を取り出し、酸性の溶液に浸すなど外部から刺激を与え、その後、培養してできた万能細胞のこと。成長した細胞をどんな細胞にもなれる状態に戻す、つまり「細胞の初期化」ができるという。iPS細胞に比べ、短期間かつ簡単な方法でできるなどとして、世界に衝撃を与えた。

 しかしその後、実験データや写真に疑問があるとの声が相次ぎ、理化学研究所は調査を開始していた。

 若山教授は、なぜ今夜になって論文の取り下げを求めたのか。写真を示して次のように語った。

 若山教授「STAP細胞だったものが体のいろんな部分に分化したという証拠写真です。この写真が(科学誌)ネイチャーで使われているんですが、これとまったく同じものが(小保方さんの)博士論文でも使われていた」

 若山教授によると、ネイチャーで発表した写真が、小保方さんが以前に書いた別の研究論文に載った写真と同じものである可能性があり、STAP細胞の根幹に関わる部分で疑問を感じたという。

 若山教授「信じたいんです、僕は。(STAP細胞が)あったらいいなと思っています。でも、信じる、信じ続けることが難しいという状況なんです」

 現在、小保方さんとは連絡がとれないという。

 10日夜、理化学研究所の広報担当者は、「(論文の)共著者は複数名いて、現在確認をとっているところ」と話し、論文の対応について一刻も早く結論を出したいとしている。

 若山教授は、ミスのない論文に作り直し、再度発表するためにも、いったん取り下げるべきだと話している。