南海トラフ沿い、先月は「特段の変化なし」
気象庁は南海トラフでの巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会を開き、先月は「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震について、気象庁は7日、専門家による定例の評価検討会を開き、想定震源域やその周辺で起きた地震や観測データの分析を行いました。
先月1日から今月5日までの期間に、南海トラフ巨大地震の想定震源域とその周辺では、マグニチュード3.5以上の地震が7回発生したということです。
このうち、最も規模の大きかった地震は、今月1日に豊後水道を震源とするマグニチュード4.5の地震で、高知県宿毛市で震度4の揺れを観測しました。
これは4月、高知県と愛媛県で震度6弱を観測した地震の余震の一つとみていて、南海トラフ沿いのプレート境界の固着状態に特段の変化をもたらすものではないとしています。
また、先月30日から今月2日にかけて、紀伊半島中部から西部でプレート境界付近を震源とする低周波の小さな地震が観測されました。プレートがゆっくりとずれ動く「短期的スロースリップ」によるものとみられています。
一方、静岡県御前崎などでは、南海トラフでのフィリピン海プレートの沈み込みに伴って、長期的に地盤の沈降が観測されていますが、その傾向にも大きな変化はないとしています。
検討会は、南海トラフ周辺で「大規模地震の発生の確率が相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は、南海トラフ沿いで、いつ地震が起きても不思議がない状況に変わりはないとして、引き続き強い揺れや津波などに注意してほしいと呼びかけています。