2025年度日本の警察で実験導入へ「ウエアラブルカメラ」 職務で装着するワケとは
17日、日本の警察で2025年度から実験的に導入することが発表された「ウエアラブルカメラ」。地域の安全や交通、警備などにあたる分野の警察官が装着する小型のカメラですが、どのように活用されるのでしょうか。
「9月、アメリカのトランプ前大統領を暗殺しようとしたとみられる男が確保された瞬間の映像です。実はこれ、警察官が装着している小型のカメラ、ウエアラブルカメラで撮影された映像なんです」
「こうしたウエアラブルカメラを日本の警察でも活用しようと、来年度から実験的に導入することが、17日発表されました。小栗さん、どうして今、導入するということになったのでしょうか」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「最近、警察官の活動の様子を一般の人が、SNSにアップするケースなどが増えているなか、警察としても、職務質問などを適正に行っているかなど、映像に残して後日、検証できるようにしようという狙いがあるんです」
「また、警察官の目の前で犯罪が起きた場合、その映像を“証拠”として、さらには2年前、韓国の梨泰院で多くの方が犠牲になる雑踏事故がありましたよね。あのような多くの人が集まるイベントなどを警備する際、現場の警察官が装着したウエアラブルカメラの映像をリアルタイムで本部に送り、適切な指示を行えば、想定外の人の流れによる事故なども防げるのでは、という狙いもあるんです」
小栗委員長
「このため、ウエアラブルカメラを装着するのは、地域の安全を守ったり、交通の取り締まりや雑踏の警備などにあたったりする分野の警察官だということです。実は、国内では、すでにJR東日本が、2022年から首都圏を中心に15の駅で、このウエアラブルカメラを導入していて、利用客の対応をする駅員が装着しています」
「その結果、『トラブルが起きた時、リアルタイムで状況を駅員室で共有できるため、ほかの駅員が応援に駆けつけたり、警察に連絡したりするなど、迅速な対応ができるようになった』と一定の効果があったそうです」
藤井貴彦キャスター
「カスハラや暴力行為を防ぐために、また街の安心安全を守るためにうまく活用してほしいとは思いますが、一方で、知らないうちに自分が撮影されているかもしれないと、不安になることもあるのではないでしょうか」
小栗委員長
「その点心配ですが、警察庁は、撮影していることが分かるように装着しているカメラに“赤いランプ”がつくようにしたり、“撮影中”だと分かるような腕章を着けたりすることを検討しています」
「また、プライバシーに配慮して、たとえば『個人の家に入る場合』『路上で性犯罪の被害』にあったという、110番通報で駆けつけた警察官が話を聞く際など、撮影を止めることも検討しているそうです。また、撮影した映像については特に必要があるものを除き、一定の期間が経ったら消去するということです」
藤井貴彦キャスター
「野口さんはどう考えていますか」
野口啓代さん(スポーツクライミング五輪銅・『news zero』木曜パートナー)
「これが導入されることによって、犯罪の抑止力にもなると思います。イベントの時なども、混雑の状況がリアルタイムに見られることで警備がスムーズになって、事故が防げればいいですよね」
藤井貴彦キャスター
「いま、警察の仕事を一般の人がスマホで撮影して、業務や判断に支障が出ることもあると聞いています。こうして撮影された映像が警察業務の正当性の判断に使用される一方で、警察側に問題があったとしても、そうした映像を適切に開示して私たちが判断できるようになるといいですね」
(10月17日『news zero』より)