×

敬語も否定もNG!――「ギャル式」会議で新アイデアを 北海道の町長“バタフライマサヒロ”も爆発、会議をアゲる独自ルール

2023年10月11日 10:31
敬語も否定もNG!――「ギャル式」会議で新アイデアを 北海道の町長“バタフライマサヒロ”も爆発、会議をアゲる独自ルール

普段の会議とは違った進め方や雰囲気で新しいアイデアを引き出す「ギャル式ブレスト」というサービスがあります。敬語や意見の否定は禁止、ニックネームで呼びあうといったルールがあります。「脱炭素」を話し合う青年会議所主催の会議を取材しました。

■「バイブス」聞かれて大盛り上がり

東京・渋谷で行われた、北海道の青年会議所主催の会議。「脱炭素(ゼロカーボン)社会の実現」を話しあう場で、名刺交換をするスーツ姿の人たちに交じって、派手なファッションのギャルの姿がありました。

司会も、グループワークを回すのもギャルたちです。ギャルに「今日の気持ちは? バイブス」と尋ねられた参加者が「今日はすごくハイです」と言うと、「アゲ!?」という声が上がり、そのグループは拍手に包まれて盛り上がりました。

彼女たちは、企業や自治体などから依頼を受け、普段とは違った雰囲気や会議の進め方で新しいアイデアを引き出す「ギャル式ブレスト」というサービスを提供しています。

参加者が「ゼロカーボンって、どうもこう…」と悩む様子を見せると、ギャルは「そこから結び付けられるの! なんでも」と背中を押しました。

■「スピお」「よっしー」…あだ名で

会議を活性化させるため、ギャル流のルールがいくつもあります。参加者が「スピおっていう名前をいただきました! スピおでーす。神社が好きだと話をしたらスピおになりました」と自己紹介。ギャルは「スピリチュアル!」と合いの手を入れました。

全員ニックネームで呼び合うことが1つ目のルールです。意見を発表する人が代わる際も「次が、じゃあ『よっしー』」という回し方をします。

■タメ口で会話 「忖度文化」にNO

2つ目のルールは、敬語は禁止で年齢に関係なくタメ口で話すことです。その意図を、ギャル式ブレストなどを主催するCGOドットコムの竹野理香子代表に聞きました。

「忖度(そんたく)文化って言われる、年次が下の人が上の人に意見が出ないとか、上の人でさえ下の人に気を使って意見が言えないっていう。肩書、役職を超えた『自分』としてコミュニケーションを取ってみましょうっていう(狙いです)」

参加していた三菱商事の社員は「みんなで束縛もなく自由に発想できて。これって普段の会議にない」と話しました。

■事前の猛勉強、活発な振り返りも

会議の人数や内容によって依頼料は50~100万円ほど(要相談)。それでも現在は大手メーカーの商品開発や自治体のブランディングなど、20以上の依頼を同時に進めています。

会議が終わるとギャルたちは集まって振り返りをしました。「もっとここは超えられたかもとか、引き出せたかもってとこはある?」という問いに対し、次々と反省点や気づきが挙がりました。

「最初みんなをゾーンに連れて行く力が薄かったかも。グラデーションがなかったから、頭をほぐす」

「テンションとかも切り替えが難しいものだから、何かがあるといいね」

「その人の内にある知識が面白いものなんだって自覚させたら、もっとこれ使えるかもみたいな」

事前準備も手を抜きません。ギャルの1人は「(脱炭素は)めちゃくちゃ難しかったです」と話しました。会議の内容を理解しておくことは大前提。専門家に何度も話を聞くなど、依頼を受けてから猛勉強するといいます。

■アイデアを否定せず「ちょーいい!」

その上で、ギャルならではの方法でアイデアを引き出すのがギャル式ブレストです。ルールの3つ目は、人の発言を絶対に否定しないことです。

「屋根が動くといいよね、いつも南向きに」と参加者がアイデアを披露すると、「ちょーいい!」「ちょーいい!」という声が上がりました。

■町長「ギャルの感覚で伝えるのが大事」

参加者の1人、後藤正洋さんは北海道当別町の現役の町長です。町長(チョウチョウ)から蝶々とつながり、「バタフライマサヒロ」というニックネームが付きました。

アイデアを発表せず、見守るだけだった後藤町長ですが、ワクワクする家というテーマで「カギのない家」「3世代の家族が住める家」「買い物が自動で届く家」と次々案を出すようになり、ギャルから「あ、いーじゃん!」という声が上がりました。

その変化に、ギャルたちは「町長爆発してたかな」「昨日よりめっちゃしゃべってた気がする」「確かに~」と振り返っていました。

後藤町長は「批判をしない、意思を受け入れる。人にものを伝える時に、彼女たちみたいな感覚で伝えることが大事なんだなって」と話しました。

ギャル式ブレストを依頼した北海道内の青年会議所の松岡宏尚さんは「(普段の会議では)誰かの批判が入っちゃう。誰々がやってくれないとか、お金が付いてないからできないよね、とか。その辺をぶち壊してくれるのが、今回のギャル式ブレストかなと」と言います。

■落合さん「おじさんはギャルを目指せ」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「大人になってくると、どんどん肩書が付いてきますからね。教授になったり、大企業の社長とか、賞をもらったりとか…」

有働由美子キャスター
「それ、落合さんではないですか…?」

落合さん
「みんなが忖度するようになったら良くないです。おじさんというのはできるだけ年々、なめられる存在になった方がいいと僕は思っていて、私は常にギャルを目指しています。髪型とか格好とか」

有働キャスター
「ギャルを目指していたんですね」

落合さん
「おじさんになったら、どんどんギャルになっていかないと。おじさんは、ギャルを目指すしかやることがない!」

有働キャスター
「確かにカルチャーが違う人の意見をしっかり聞くのはとても大事ですよね。素晴らしいです」

(10月10日『news zero』より)