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中国“20億人”移動の大型連休 多くの訪日観光客…ホンネは?【バンキシャ!】

2023年10月2日 10:19
中国“20億人”移動の大型連休 多くの訪日観光客…ホンネは?【バンキシャ!】

のべ20億人以上が移動するとみられる、中国の大型連休が始まりました。中国政府が福島第一原発の処理水放出に反発する中、ふたを開けると、多くの中国人観光客が日本を訪れました。「日本の海鮮が楽しみ」と語る人も。その意識の差はどこからくるのでしょうか。(真相報道バンキシャ!)

9月29日、羽田空港。国慶節の大型連休初日。中国からの旅行客が続々と到着していた。
こちらの2人のお目当ては海産物。処理水についてどう考えているのか?

中国人観光客
「北海道のカニやウニが好きです。(処理水について)あまり気にしていません」

──(記者)海鮮はしっかり食べる?

中国人観光客
「東京では豊洲市場に行こうと思います」

早速、この日の夜、魚料理を扱う飲食店でアジの干物やどんぶりなどを堪能していた。

9月30日、東京・上野で出会ったのは、初めて日本に来たカップル。2人が食べたものは、マグロとサーモンの海鮮丼。

初来日の中国人観光客
「(処理水のことは)多少は気になりますが、とても味が良かったし価格も安かった」

建国記念日にあたる国慶節を迎え、お祭りムード一色となった中国。この大型連休で、
のべ20億人以上が大移動すると予想されている。日本にも多くの中国人観光客が訪れる一方で、中国国内で過ごす人からはこんな意見が──。

中国国内の旅行者
「安全ではないですよ。日本はいま“汚染された水”を放出しているでしょ。だから国内にいた方がいいと思います」

バンキシャ!は、国慶節の中国人観光客らを取材。すると、処理水問題をめぐり二極化する中国国民の感情が見えてきた。

9月29日、成田空港の到着ロビー。

──どこから来たんですか?

上海から来た観光客(26)
「上海から」

──日本語も上手ですけど、どうやって勉強した?

上海から来た観光客(26)
「独学ですね、興味で」

流ちょうな日本語は独学。アニメなどをきっかけに日本が好きになり、10回目の来日だという。

9月30日、上海から来た観光客(26)がやってきたのは東京・吉祥寺。知人に勧められ散歩にきたという。街中で目を止めたのは…。

上海から来た観光客(26)
「めちゃくちゃ日本ぽいと思っています」

ガード下に飲食店がある風景が「日本らしい」という。夕食を食べる店を探すなかで、気になることが…。

上海から来た観光客(26)
「親に今回日本で海鮮食べたよみたいなことを言ったら、何で食べるの?みたいなことはたぶん言われると思う」

中国にいる親には、日本で海産物を食べることを話していないという。

上海から来た観光客(26)は「ちょっとぐらい食べるのは、大丈夫だと思います」「自分の意思ですし、好きなものを食べれば悪くない」と話し、処理水の影響を気にしつつも、日本の食を楽しみたいという。

日本を避ける人もいれば、海鮮丼を食べる人も。なぜ意識の差が生まれるのか?
見せてくれたのは、中国のSNS。若者は様々なメディアをチェックしつつ、自ら調べることで情報を判断しているという。

一方で、上海から来た観光客(26)が「これは高齢者の方が見ることが多い」と話しながら見せてくれたのは、高齢者が良く見るという中国共産党の機関紙「人民日報」のアカウント。

上海から来た観光客(26)
「高齢者は、より政府の発表に注目する」


9月29日の中国国営メディア「中国中央テレビ」の報道では、「福島第一原発の2回目の“核汚染水”放出は、10月5日に始まるという。日本は前にも国際社会から強く反対されたにもかかわらず、8月24日に福島の“核汚染水”の放出が開始された」と日本への批判的な報道が続いている。

中国はいまどういう状況なのか──?

バンキシャ!は、中国人と結婚し、現地で通訳として働く日本人に話を聞くことができた。

中国在住の廣井佑樹さん
「怖いというのはある。怖いというより居づらくなる、日本人として」

廣井さんは先月、家族旅行でホテルを予約しようとしたとき、こんな対応をされたという。

中国在住の廣井佑樹さん
「(妻が)『あなたの旦那さん何人?』って聞かれて、妻が日本人って言ったら、『じゃあちょっと待って、公安で確認しないといけないから』『あんなことあったでしょ。いろいろめんどくさいのよ』『だから公安に確認しなきゃいけない』と言われました」

処理水放出の影響は国慶節の予定にも出ているという。

中国在住の廣井佑樹さん
「日本人への風当たりが強いので、(国慶節に)出歩くのはやめようと思った人はいる」

廣井さんも、参加する予定だった飼い犬のイベントを断念するつもりだという。

一方、上海から来た観光客(26)は東京・吉祥寺で9月30日、夕食選びの真っ最中だ。悩んだ末…そば店に決定。セットのサイドメニューを選ぶとき──。

上海から来た観光客(26)
「これは何ですか?」

店員
「じゃこ天は魚の練り物」

「舌触りがザラザラしているような感じ」

上海から来た観光客(26)
「これにしようかな」

海産物を選んだ。

店員
「宇和島のあぶりじゃこ天です」

上海から来た観光客(26)
「こういうにおいなんだ。魚のにおいがしますね」

さらにメインのそばも届き、すかさず写真撮影。初めて食べるじゃこ天のお味は──?

上海から来た観光客(26)
「不思議な味…でもうまいですよ。めちゃくちゃおいしい」

大好きな日本食を堪能した。

バンキシャ
「写真撮ったじゃないですか」

上海から来た観光客(26)
「きょうの昼食とかと合わせて、(SNSに)きょうのダイアリーみたいにあげようと思っています」

この日の夜──。「うまい」というコメントと共に写真が投稿されていた。

上海から来た観光客(26)
「日本へ旅行に来るという選択は悪いものではないと、(中国にいる人に)伝えたい」

(10月1日放送『真相報道バンキシャ!』より)

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