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温暖化対策で世界が合意 実行始める年に

2016年1月3日 23:16

 地球温暖化対策として、温室効果ガスの排出を削減する国際的な枠組み「パリ協定」が去年12月に採択された。世界196の国と地域が参加する、歴史上初めての合意の下、日本はさらに具体的な取り組みが求められている。


【相次ぐ異常気象・地球温暖化】
 2015年も世界各地で、熱波や豪雨などの異常気象が発生した。インドやパキスタンでは5月から6月にかけ、最高気温47℃を記録。熱中症などで3000人以上が死亡した。

 日本でも9月の関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防が決壊して川が氾濫した他、8人が死亡するなど、各地で甚大な被害が出た。

 世界の平均気温は平年を0.4℃上回り、1891年の統計開始から最も高くなる見込み。

 相次ぐ異常気象の背景には、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の影響があると指摘されている。国連の世界気象機関によると、2014年に世界各地で観測された温室効果ガスの平均濃度が過去最高を更新。

 また、日本の衛星「いぶき」が観測した大気中のデータでも、世界の二酸化炭素の平均濃度が観測開始の2009年以降、毎年上昇し続けていることが分かっている。

【COP21で歴史的合意】
 こうした地球温暖化を防ぐため、世界中の国が参加してCOP21(=気候変動枠組み条約第21回締結国会議)が、2015年11月から12月にかけて、フランス・パリで開かれた。

 COP21では、世界196の国と地域が温室効果ガスの削減に取り組む歴史上初めての枠組み「パリ協定」が採択された。協定では、産業革命前に比べ、気温の上昇を「プラス2℃」に抑えることを世界共通の長期目標とし、より厳しい「プラス1.5℃」についても努力目標として明記。

 さらに、全ての国と地域が5年ごとに温室効果ガスの削減目標を見直して向上させることや、目標達成への取り組み状況が適切かどうかチェックする仕組みを設けるとしている。

 ただ、温室効果ガスの削減そのものはあくまでも目標とされ、義務化はされなかったことで、その実効性を疑問視する声も上がっている。

【「パリ協定」合意の背景は】
 協定が合意優先になった背景には、先進国と途上国の対立がある。先進国側は、途上国にも削減義務を設けるよう主張。これに対し、途上国側はこれまで大量の二酸化炭素を排出してきたのは先進国であり、先進国が削減義務を負い、歴史的な責任を果たすべきだと強調してきたのだ。

 特に大きな課題である、途上国に対する先進国の資金支援についてはパリ協定には盛り込まれず、法的拘束力のない決定事項とされた。今回の協定は「全世界の合意」という大きな目的のために、先進国・途上国の双方が一定の妥協を行った形だ。


【日本の途上国支援は】
 この他にも「パリ協定」には、これまで日本が行ってきた「2国間クレジット制度(JCM制度)」を含む市場メカニズムを活用することが盛り込まれた。

 2国間クレジット制度は、環境技術を用いて途上国を支援する代わりに、削減した温室効果ガスの排出量を日本の削減分として取り込むもので、日本はこれまでに16か国と合意し、インドネシアではセメント工場に省エネ設備を導入したり、ベトナムでは送電の高効率化を行ったりしている。

 丸川環境相は、今後、途上国に対して資金面のみならず、人材育成などの面でも支援を行う他、温暖化に適応できるよう農業分野での品種改良なども積極的に支援するとしている。


【日本国内でも求められる対策】
 日本は世界第5位の温室効果ガス排出大国で、国内でもさらなる対策が求められている。日本は2030年度までに、2013年度に比べて温室効果ガスの排出量を26%削減するという約束草案を、すでに国際社会に提出している。

 政府は「パリ協定」と日本の約束草案を踏まえた国内での温暖化対策計画を今年春までに策定する方針を打ち出した。この対策計画が実効性のあるものかどうか注視が必要だ。


【ライフスタイルの転換点】
 一方、環境省が発表した2014年度の国内温室効果ガス排出量の速報値は13億6500万トンで、原発が停止していたにもかかわらず、2009年以降、初めて減少に転じた。環境省は、一般家庭での省エネや節電が進んだことや、再生可能エネルギーの導入拡大などが減少の主な原因としている。

 全世界が合意した「パリ協定」を転換点に、私たちも大量生産・大量消費といった現在の経済・社会システムや、ライフスタイルを見直し、変化させる時期に来ている。

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