忍者博物館は「体育」私立高校で驚きの実態
土産を買ったお釣りを計算することが数学の授業に…。三重県の私立高校でこうした不適切な授業が行われていたことが分かった。そのあきれた実態とは-。
■驚きの実態
三重県伊賀市にある私立高校「ウィッツ青山学園」。全国から授業を受けられる通信制の課程を持つ。しかし、そこには驚きの実態があった。
私たちが入手した学校側が授業内容を記した資料を見ると、去年7月のスケジュールでは、「バスの中で洋画鑑賞」することが「英語」と「国語」の授業とされていた。さらに、「アイスクリーム手作り体験」は「家庭科」と「社会」の授業に。別の日には、「ユニバーサルスタジオジャパン」と書かれた予定の横に、「数学(お釣りの計算)」と書かれていた。
土産を買った際にお釣りの計算をしたことで、「数学」の授業を受けたことにしていたという。
■駅から学校まで歩く…「体育」
高校の学習指導要領では、通信制の生徒に対しては、対面して指導する“スクーリング”と呼ばれる授業が、3年間で10日前後必要とされている。しかし、ウィッツ青山学園では、高校生への教育とは言い難い“授業”が行われていたのだ。
他にも、レストランでの夕食を「家庭科」としていたり、神戸の夜景を観賞することを「芸術」の授業としたりしていた。最寄りの駅から学校まで歩くことは「体育」の授業に。「忍者博物館の見学」は、なぜか「理科」と「体育」の授業とみなされていた。
学校のホームページを見ると、「スクーリング」として忍者ショーを観戦する写真が。「体育」とされたかは不明だが、生徒は“手裏剣投げ”を体験したという。
■受講生「お金で資格を買う学校」
実際に通信制の課程を受講する女性に聞くと-。
通信制課程を受講する女性(50代)「(スクーリングについて)旅行気分だよね。帰ってきて、反省とかレポート1枚書いて送って」「(学校関係者に)『お金で(卒業)資格を買うような学校ですね』って、はっきり言っちゃったことがあるんだけど、(学校関係者は)『そう言われたら、そうだけど』みたいな」
学校のパンフレットには、「卒業保証 必ず卒業させます!」とうたわれていた。
■行政は「あきれてモノが言えません」
実は「ウィッツ青山学園」をめぐっては、生徒の授業料を補助する国の「就学支援金」を不正に受け取っていた疑いで、去年12月、東京地検特捜部が強制捜査を行っている。こうした中で発覚した新たな問題に、「ヤンキー先生」こと文部科学省の義家副大臣は-。
文科省・義家弘介副大臣「あきれてモノが言えません。極めて重大な背信的な教育が行われていると断じざるを得ません」
文科省は2日、高校を監督する伊賀市に対して、新入生募集の見直しを求めることなどを通知した。2日夜に会見を行った伊賀市は-。
伊賀市・宮崎寿教育総務課長「(教員)免許状を保有していない者が行っている授業も多数ある。(生徒募集を)即刻停止してもらいたいという思いが非常に強い」
伊賀市は、在学を希望しない生徒には、転学のあっせんなどをしていく方針を示した。