貯金に運用…お年玉で「マネー教育」を
キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。6日は、「マネー教育」をテーマに日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。
お年玉として子どもがまとまったお金を手にするこの季節は、子どもにお金との付き合い方を教える良いチャンスだ。
■お年玉の使いみち…7割は貯金に
川崎信用金庫が地域の小学生にアンケートをとったところ、去年のお正月に小学生が手にしたお年玉の平均額は2万4971円だった。
お年玉のうち、貯金にまわした割合は73・6%。実に7割以上を貯金にまわしていたという。だが、その背景には意外な事情が潜んでいるようだ。
■「欲しいものがない」今どきの子どもたち
子どもの金銭教育に力を入れているファイナンシャル・プランナーの竹谷希美子さんは、今どきの子どもたちには「欲しいものがない」という現象が起きていると話す。
竹谷さん「私のワークショップでは、欲しいものの品物と金額を書かせるが、30分ぐらい書けない子は書けない。そういった子がほとんど」
竹谷さんによれば、その理由は6ポケットの存在。両親、父方、母方の祖父母のあわせて6人に欲しいものを知らせることで簡単に手に入れられてしまうため、自分のお金をやりくりして買う努力をする必要がない。
■お小遣いを目的別に仕分ける
実際に使うことでしかお金の価値はわからない。竹谷さんは普段の子育てのなかで、上手にお金の教育をして欲しいと話す。だが、どういった教育をしたらいいのか悩んでしまう。そこで、竹谷さんは「KANRI箱」というものを考案した。
お小遣いをもらった時点でお金を目的別に仕分けし、そこからしか使わないというルールを決めるのだ。家計管理でもこうした「袋分け」を行っている人もいるだろう。
竹谷さん「1つポイントがあるんですが、『袋分け』と同じ原理なので、となり同士、柵を越えてお金は移動しません。今月『お菓子代』がピンチなので、となりの『貯金』から拝借、はダメです」
■お小遣い「定額制」「お駄賃制」どちらにすべき?
また、保護者から寄せられる質問で最も多いのが、お小遣いは「定額制」がいいのか、それともお手伝いをしたときにあげる「お駄賃制」がいいのかということだという。
竹谷さんによれば、正解はなくて、子どもの性格や成長に応じて臨機応変に使い分けるのが良いという。竹谷さんの家庭では、どちらも併用していたそうだ。
子どもをしっかり見て、家族のルールを作ることが大事だ。
■「運用」を通して親子で学ぶ
高学年になったら、お金の運用に興味をもたせるのもひとつの方法だ。子どもの金銭教育をおこなう認定NPO法人「金融知力普及協会」の鈴木達郎事務局長は「ジュニアNISA」の活用を提案している。
今月から口座の開設を受け付けているジュニアNISAは、2014年にスタートしたNISAの子ども版だ。0~19歳が対象で、1年に80万円を上限とした元本の投資から得られる利益や配当金に対して最長5年まで税金がかからない。
鈴木さんは「親子で景気やニュースについて話し合いながら運用を行うことで、経済のしくみの勉強になる。投資とギャンブルは違うということを、実践を通して親子で学んでほしい」と話している。
■貯金を習慣づけて「おこづ会議」を
また鈴木さんは、親子でお金の管理を学ぶ、こんな方法を提案している。お小遣いを使ったらレシートを保管しておいて、毎月の収支を計算する。余ったお金を子ども名義の口座に貯金すると、小さな頃から貯金が習慣づけられるという。
そして、子どもと毎月お小遣いについての会議「おこづ会議」を開いて話し合い、きちんと使えていたらお小遣いの額を増やすなど、少なくとも1~2年はお金について一緒に学ぶことが必要だと話している。
■ポイントは「お金にふり回されない」
きょうのポイントは「お金にふり回されない」。学校では、なかなかお金との付き合い方は教えてくれない。大人になってお金の問題で苦しまないように普段の暮らしにお金の教育を取り入れることで、将来、お金にふり回されない知恵を育みたいものだ。