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卒業式ソング 意外なルーツ 定番曲の秘話

2016年3月21日 19:39
卒業式ソング 意外なルーツ 定番曲の秘話

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。21日のテーマは「卒業 歌のヒミツ」。日本テレビ・小栗泉解説委員が読み解く。


■たくさんあるのは日本だけ
 3月も下旬に入り、卒業式シーズンだが、実は小中学校の卒業式で歌われる歌がたくさんあるのは日本だけという。

 今月、音楽情報誌が発表した「心に残る思い出の『卒業ソング』2016」ランキングは、1位が「ユーミン」こと荒井由実さんの「卒業写真」、2位にレミオロメンの「3月9日」と続いている。


■世代がわかる定番曲?
 この他、最近では多くの小中学校の卒業式で歌われる歌に「旅立ちの日に」という歌がある。この歌を知ってるかどうかで世代がわかるほどの定番曲だという。

 「旅立ちの日に」は、1991年に埼玉・秩父市立影森中学校の校長先生と音楽の先生が生徒のために作った曲だが、今では全国で歌われるようになった。今月11日、福島県の飯舘中学校で行われた卒業式でも歌われた。


■「蛍の光」「仰げば尊し」意外なルーツ
 卒業式と言えば、やはり「蛍の光」や「仰げば尊し」が思い出深い方も多いと思うが、これらの曲には意外なルーツがある。

 まずは、どちらも元々は外国の歌だった。「蛍の光」は、スコットランドの「オールド・ラング・サイン」という民謡だった。音楽教育の歴史に詳しい立教大学の有本真紀教授によると、日本に入ってきたのは明治7年前後。最初は賛美歌として紹介されたという。

 それが明治15年、日本で最初に作られた音楽の教科書に「蛍」というタイトルで載せられたことをきっかけに、卒業式の定番となっていったという。

 「仰げば尊し」は、アメリカの卒業を歌った曲「ソング・フォア・ザ・クローズ・オブ・スクール」だったという。この歌は「蛍の光」よりも2年後の音楽の教科書に載ったが、日本人にとっては拍子などの難易度が高いと考えられ、「蛍の光」ほどは早く普及しなかったとみられている。

 それが、戦後多く歌われるようになった。きっかけは、映画「二十四の瞳」で使われたことで、これ以降、卒業ソングとして定着していったという。


■数々のサプライズ
 今年の卒業式では、生徒たちが歌のサプライズプレゼントをする学校もあった。

 先月、大阪の藤井寺高校では、卒業式を終えた卒業生がクラスへ戻る途中、全員が中庭に集まり、教室がある2階で待つ担任の先生へ向け、感謝の気持ちを込めて歌を歌った。さらに、自分たちで用意した花束を先生に贈った。

 一方、福井県大野市にある大野高校では今月3日に行われた卒業式の後、保護者から卒業生に歌のサプライズがあった。この学校では6割以上が県外へ進学するため、「都会に出てもいつかは古里に帰ってきてほしい」との思いを込め、保護者たちが「大野へかえろう」という歌を歌った。生徒には内緒で、2週間かけて練習したという。


■一生を照らしてくれる「宝物」を胸に…
 卒業をお祝いしたり感謝したりして歌を歌う関係は、友達であれ、先生と生徒や親子であれ、きっと一生を照らしてくれる宝物だと思う。

 東京でも桜が開花し、これから新たな道を進む方も多いと思うが、どうかこの「宝物」を胸に自信を持って歩んでいってほしいと思う。

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