「ネットいじめ」を防げ!現状と対策
間もなく新学期を迎える時期となる。しかし、残念なことに多くの学校が新学期を迎える9月1日は、18歳以下の子どもの自殺が突出して多い日でもある。
自殺の原因は様々だが、新学期を迎え、学校でのいじめを苦にするケースも少なくないと考えられる。中央大学法科大学院・野村修也教授が解説する「会議のミカタ」。26日のテーマは「ネットいじめから子どもを守る」。
文部科学省で22日に開かれた「いじめ防止対策協議会」。いじめ問題に対する施策の見直しや「いじめの定義」についての話し合いが行われた。
文部科学省が全国の小・中・高校などを調べた2014年度のいじめ認知件数は、18万8072件。国内の全学校の56%以上でいじめがあるという現状だ。
中でも、ここ数年、深刻な問題となっているのが「ネットいじめ」だ。
――具体的にはどういうケースがあるのか。
ネット上の掲示板に、悪口や悪意のある画像を掲載されるケースが多い。他にも、メールアドレスや電話番号など個人情報が勝手にネット上に公開されるといった悪質なものもある。
最近では、SNSのグループでメッセージをやり取りする際に仲間はずれにされるというのがある。
実際の例で見てみると、自分がSNSで「宿題やった?」などと発言しても反応がない。しかし、他の誰かが発言すると、「そうだね」のようなリアクションがあるのに、自分の発言は無視されてしまう。
――なぜ、こうしたネットいじめが起きるのか。
ネットの特徴が影響していると考えられる。一つは「匿名性」。リアルの世界に比べていじめに参加しやすく、加害者も特定しにくいことが、いじめを助長すると考えられる。
もう一つは「閉鎖性」。SNSの場合は、限られた人しか閲覧できない閉鎖性があるため、親や学校がいじめに気づきにくいといった問題がある。
――ネットいじめに対し、どんな対策があるのか。
例えば「ネットいじめ監視アプリ」というものがある。子どものSNSに悪口やいじめをにおわすような単語があった場合、保護者のスマホにその単語が通知されるというものだ。
他にも東京都教育委員会は先月、「SNS東京ノート」を作り、都内の全ての公立の小・中・高校に配布した。このノートの中にあるのが、「SNS東京ルール」だ。
1:1日の利用時間を決める
2:スマホを使わない日を作る
3:フィルタリングをかけて使う
4:自分や他人の個人情報を載せない
5:送信前に相手の気持ちを考えて読み返す
授業などで子どもたちに正しいネットの利用を指導する方針だ。
――行政もいろいろな対策を立てているが、それでも子どもがいじめに巻き込まれてしまった場合、どうすればいいのか。
今回のポイントは「なやみ言おう」。何といっても「一人で抱え込まないこと」が大事。夏休みも終わりに近づいている。テレビを見ている子どもも多いと思う。もし、いじめで悩んでいるのなら一人で悩んでいないで、周りの大人に話をしてみてほしい。
といっても、やはり親や先生には相談しにくい場合もある。そんな時は、文部科学省の「24時間子どもSOSダイヤル」に電話する方法もある。番号は「0120-0-78310(なやみ言おう)」。
親も「自分の子どもは大丈夫」と思わずに、子どものちょっとした変化に気づいてあげてほしい。