台風の接近で体調不良…「気象病」とは?
台風の接近で頭痛などの体調不良を訴える人がインターネット上で続出し、「気象病」だと注目されている。なぜ、台風が近づくと体調不良になるのだろうか。また、予防法はあるのだろうか。
■台風前日は患者5割増し
異例のコースで日本列島を直撃した台風10号。都内のクリニックでは、この台風の接近で患者が増えていたという。
にわファミリークリニック・丹羽院長「台風が直撃する前日になると、頭痛の方だと、『動くとつらい』とか、気管支ぜんそくの患者さんが、圧倒的に発作を起こして来られるので、通常の診察している患者の5割増しぐらいになりますね」
街の人の声「台風の日とかそういう日は、頭がズキズキします」「台風での気圧の変化でせきが出やすくなったり、頭痛くなったり、骨折していたところが、痛くなったりします」
インターネットの声「頭が痛い、くそぅ…台風め…」「気象病でダウン」「台風去ったら治まった」
台風10号が上陸する直前の先月29日から気象病に関するツイート数が急増。先週、台風9号が関東に上陸した時も反応があった。
■ドイツでは気象病の予報も
気象病を20年以上研究しているという専門医によると―
愛知医科大学 医学部・佐藤客員教授「気象病というのは、気圧や温度、湿度が変化したときに体調が変わったり、病気が悪化したりするものの総称なんです」
気象病は、日本ではあまり聞きなじみのない言葉だが、ドイツの気象庁のホームページを見ると、気象病が予報されている。地域ごとに気象病の危険度が表示され、気象病の人にとって「良い」「影響なし」「やや危険」「とても危険」と、4段階で毎日予測している。
気象病に悩む女性「低気圧が近づくと、こちらに向かって来るときに頭がズキンズキンして起き上がれない。ひどい時は、台風の時はめまい感がひどくなるような気がします」
■頭痛・めまい引き起こすメカニズム
なぜ台風の接近で頭痛やめまいなど、体に変調が起きるのだろうか。
佐藤客員教授「大きな台風が来る時、一番大きく変化するのは『気圧』なんですね。私の研究によれば、耳の奥にある内耳と呼ばれるところが、その気圧の変化を感じ取って、体調が変わったり、ということだと考えている」
専門家によると―
(1)耳の奥の内耳にあるセンサーが気圧の変化を感知する。
(2)内耳が「揺れている」と脳に信号を出す。
(3)一方、視覚からは「揺れていない」というシグナルが送られる。
(4)脳が混乱し、交感神経が反応。
(5)結果、頭痛やめまいなどの症状を引き起こすという。
また、過去にケガなどをしたところがあると、患部の痛覚神経を刺激するため、痛みが発生するという。
■予防のカギは、血液やリンパの流れの改善
気圧の変化によって起こる痛みやめまいなどの気象病。発生するタイミングや症状の現れ方は人それぞれだが、専門医によると、耳の周りの血流が悪く、内耳の中のリンパ液が滞っている人が多いという。
日常的に耳の後ろを指で押したり、手を使って首を横側に伸ばしたりして、血液、リンパの流れを良くすることが予防につながるそうだ。
私たちの体には、普段15トン前後の気圧がかかっているそうで、それを内側から押し返して、バランスをとっているそうだ。外の気圧が変わると、どうしても体に変調をきたすことがあるという。自分の体調の特徴をよく理解して、上手に自然と付き合いたいものだ。