カジノ合法化へ期待と懸念…“麻薬”の声も
日本でのカジノ合法化に向け、超党派の国会議員が12日に会合を開き、いわゆる「カジノ解禁法案」の今国会成立を目指す方針を確認した。経済効果を期待する自治体も次々名乗りを挙げている一方で、ギャンブル依存症や治安の悪化なども懸念されている。
【経済効果に色めく自治体】
■多くの外国人観光客が訪れる長崎県・佐世保市。定番の観光ルートは、絶景スポットでの写真撮影や市内のショッピングモールなどでの買い物だ。
■しかし、佐世保市が今、さらに多くの観光客を呼び込もうと狙っているのが「カジノ」の誘致。誘致先として検討されているのは、年間約300万人の観光客が訪れる「ハウステンボス」だ。
■ハウステンボス内には“模擬カジノ”施設もある。日本でカジノが合法化された場合には、より広いスペースに巨大な施設を建てる計画だという。
■ハウステンボス・高木潔専務取締役「研究会の試算では、2544億の経済効果、雇用としては、1万1000人の人たちが雇用できると試算していただいてる」
■佐世保市も誘致に本腰を入れている。朝長市長は「海外の観光客にも選択肢を広げて満足してもらうことが必要」と、話す。
【今国会での「解禁法案」成立目指す】
■自治体の期待が高まる中、国会での動きも本格化している。日本でカジノ合法化を目指す議員連盟の会合には、与野党から100人近くの国会議員が出席した。議員連盟では、いわゆる「カジノ解禁法案」の今国会成立を目指している。
■カジノ解禁法案は、「賭博」にあたるとして刑法で禁止されているカジノを解禁し、ホテルや商業施設などを併設した統合型リゾートの整備を政府に促す法案。
■会合に出席した大阪府の松井知事も「新たな産業創出などの経済効果も見込まれ、その効果は関西のみならず、広く日本全体に波及するものだと思います」と、法案の成立に期待を寄せた。
■大阪府も2025年の開催を目指す「大阪万博」とセットでカジノ誘致を目指している。
【韓国では「カジノは麻薬」の声も―】
■一方で、与党・公明党や野党の中には法案に反対する声が根強くある。とりわけ懸念されているのが「ギャンブル依存症」や「治安の悪化」だ。
■カジノ解禁後、こうした問題が深刻化しているのが韓国だ。江原道のカジノリゾート施設の周辺の町では、多くの質屋が営業していた。
■その一軒を訪ねると、店の奥には多くの自動車が並んでいた。自分が乗ってきた車を質に入れ、現金を受け取るとすぐにカジノにつぎ込む人も多いという。
■質屋店主「(Q:全部質入れした車?)はい、全部」「(Q:取りに来る人と来ない人、どちらが多い?)来ない人が多いよ。車を取り戻す確率が高ければ、カジノはつぶれますよ」
■カジノから出てきた客「普段は事業をしているけど、お金さえできたらここに来ちゃうんだ。(カジノは)麻薬だよ」
【推進派の考えは―】
■こうした問題点について、推進派の岩屋毅衆院議員は「我が国のギャンブル依存症全般について、きちんと調査し、あるいは対策をうち、予防のための教育をするということができるようになる、それをしていかなくてはいけないなと考えています」と話す。
■推進派の議員連盟は法案の早期審議入りを目指しているが、成立に向けて与野党の幅広い支持が集まるかが焦点になる。