南富良野へ…さだまさしさんと被災地支援
諏訪中央病院・鎌田實名誉院長が歌手・さだまさしさんと一緒に、今年8月に台風10号の被害にあった北海道・南富良野を訪れた。そこで見た「南富良野の現状」とは?
さださんは被災地支援を行っている「風に立つライオン基金」の発起人で、鎌田さんもその基金に参加している。今回は、その活動の一環で被災地支援に行ってきた。
先月29日、鎌田さんたちが向かったのは空知川。この日は、風もなく、川は穏やかに流れていた。
さださん「この川でしょ。こんなに激しい川じゃないんだもの」
鎌田さん「本来(氾濫)しないんだってね。今年は天候がおかしい。
さださん「台風だからね。3つ来ちゃったからね」
2か月前、空知川は前々日から降り続いた雨で増水し、堤防が決壊。川沿いの畑の作物は土と一緒に流され、150戸以上の住宅が浸水被害にあった。
近くに畑を持つ農家・大野一也さん(64)に、決壊した場所を案内してもらった。大野さんによると、復旧工事が行われているのはごく一部で、工事が始まっていないところも多いという。
被害の大きさに農業を辞めることも考えたという大野さんだが、「国からも助けていただいて、こうやってお世話になって、修復していただいてるものですから、やはり今、やめるわけにはいかない。やはりきちんと、ものをとれるような状態になるまでは頑張らなきゃ」と話していた。
そして、さださんと鎌田さんは町役場で町長を訪問。「風に立つライオン基金」について話した。
さださん「僕らの力で募金を集めて、それをどう使うかというのは、本当に何かの役に立っているか実感がないんですよね、みんな。だから(コンサート会場に)ガラス張りの募金箱を常設しておいて、ここがちょっと困ったら、大したことはできないけど、気持ちだけでもそんな中からちょっとずつできたらいいなと」
その後、南富良野小学校では復興応援コンサートが行われ、その中で、「風に立つライオン基金」から支援金が町長に手渡された。
さださん「今回みたいな自然というものに牙をむかれた場合、我々にはなすすべがないんですね。だけど人間というのは、この厳しい自然と立ち向かって、ことに北海道の人は厳しい自然の中で闘って今まで生きてきたんだから、こういう困難もやがて笑って話せる時代がくると思う」
さださんは「被災地の人のために少しでも元気づけられたら」と活動している。コンサートでは全国各地で「北の国から」を歌っているという。
私たちができることは、小さな事しかないかもしれない。ただ、南富良野のことを忘れずにいることはできるはずだと思う。