免許更新に運転技能の検査“義務化” 高齢ドライバーの事故多発で…
高齢ドライバーによる車の事故があとを絶たないなか、5月13日から新しいルールが始まりました。交通違反をしたドライバーが免許更新をする際に、アクセルとブレーキが正しく使い分けられているかなど、運転技能の検査が義務づけられました。
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北海道札幌市で11日、乗用車が信号機に突っ込む事故がありました。乗用車のフロント部分が大破し、衝突の勢いで信号機が傾いてしまいました。
乗用車を運転していたのは70代の高齢男性で、病院に搬送されましたが、意識はあるということです。
事故の原因について、運転していた男性は「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と話しています。
あとを絶たない高齢ドライバーによる事故。
2019年4月、東京・池袋で当時87歳の高齢ドライバーが起こした暴走事故は、社会に大きな衝撃を与えました。こうした事故をきっかけに注目されたのが、免許の返納です。
高齢の母が免許を返納した人
「高齢者による事故があって、それで(母親が免許を)返納しました」
免許証を返納しない人
「まだまだ(免許証を)返納したくない。これ(免許証)がないと、自由がきかない。家にこもるようになると思う。もうちょっと乗りたいから」
「免許返納」の時期についても様々な議論がされてきましたが、5月13日から「改正道路交通法」が施行されました。
過去3年間、信号無視や逆走などの違反をした75歳以上のドライバーを対象に、免許更新の際、「運転技能検査」が義務づけられることとなったのです。
その検査では、アクセルとブレーキを正しく使い分けられているかを見るために、段差を乗り上げて1メートル以内で停止できるかどうかや、反対車線にはみ出さず右折できるかどうかなど、6つの課題があり、不合格になると免許の更新はできません。
「運転技能検査」6つの課題
○一時停止 ○右折 ○左折 ○指定速度走行 ○信号通過 ○段差乗り上げ
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今回の法改正を受け、自分の運転技術を見直そうと、民間の運転講習を受ける高齢者が増えているといいます。
おもいやりペーパードライバーススクール 大瀧賢治代表
「(免許更新)の事前練習として、当スクールで練習をされている方は増えてきています」
その講習中、ヒヤッとした場面がありました。
おもいやりペーパードライバーススクール 大瀧賢治代表
「一番怖いのが、信号を見落としそうになったり、右がアクセルなのか左がブレーキなのか一瞬迷ってしまう」
重大な事故につながりかねない、アクセルとブレーキを踏み間違えそうになる高齢者もいます。
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こうした事故を減らすため、今、注目されている技術がありました。
記者
「では思いっきりアクセルを踏んでみたいと思います」「あ、警告音がなってほとんどスピードは出ません」
アクセルを強く踏んでも時速は10キロ以下。
セイビー 赤尾紀明さん
「小さな装置なんですけど、実際にこれでアクセルとブレーキの踏み間違い(による事故)を防止することができます」
新車でなくても取り付けが可能な、車の急発進を自動的に防いでくれる装置です。車の出張整備などを行う会社が、4月に30個を無償で提供すると発表したところ、多くの問い合わせがあったということです。
セイビー 赤尾紀明さん
「実際にご高齢者の方々から、自分の運転が心配なので取り付けをしてほしいという声もいただいています」
今回の法改正をきっかけに、安全運転について考える高齢ドライバーが増えています。