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超高齢化で注目されている「総合診療医」

2017年4月20日 20:44
超高齢化で注目されている「総合診療医」

 超高齢化が進む中、注目されている総合診療医。医師不足に悩む、地域医療の中心になるともいわれている。いま求められる総合診療医について、諏訪中央病院・鎌田實名誉院長が解説する。


■いま求められる総合診療医とは?

 総合診療医とは、循環器科、消化器科、呼吸器科、小児科など、どのような科の病気でも幅広く診ることのできる医師のこと。高齢者はひとつの病気だけでなく、同時に様々な病気にかかっていることが多いため、医師の少ない地域では、診療科をまたいで診ることのできる医師が大事だ。

 そこで、先月、鎌田さんは、去年から地域医療などアドバイスしている北海道本別町で、諏訪中央病院の総合診療医2人と一緒に、住民や医学生を呼んであるイベントを行った。

 20組ほどの親子を招いて行われたのはクイズ大会。その中で出されたのは“風邪をひいているのは誰か”という問題。

(1)昨日の朝から咳(せき)が続いている。けさから37.5℃の微熱あり。

(2)2日前に38.5℃の発熱あり。けさから鼻水と咳がでてきた。

(3)3日前からのどが痛い。次第にのどが痛くなってきた。けさから37.8℃の発熱。

 病気や健康の問題を家族で話すことで自然と健康意識が高まるのではという狙いだ。

 正解は、風邪は鼻水、のどの痛み、それから咳、この3つの症状がでるのが普通。このうちの2つ以上が生じるのが風邪なので、鼻水と咳の症状がある2番の人が風邪だ。

 問題を出しているのは、鎌田さんと同じ病院で働く総合診療医の山中克郎医師。そして、総合診療医を指導する奥知久医師。


■総合診療医の重要性とは?

 医師が不足している地域では、総合診療医の存在が欠かせないと鎌田さんはいう。総合診療医は、これから大事な役割をする。心臓のこともわかる、おなかのこともわかる、手足を動かす神経の事も、何でもわかるだけじゃなくて、地域のことも考えてくれる。人間の心のことも考えてくれる、そんな先生がいたらすごく頼りになるわけだ。

 鎌田さんは、これから医師を目指す学生に総合診療医の重要性を知ってほしいと、2人の総合診療医による診察を見学してもらった。

 山中医師「何か今、困ってらっしゃることはないですか」

 患者さん「今はありません」

 山中医師「のみ込みはまだちょっと難しいのかな」

 患者さん「ちょっとですね」

 のみ込む力が弱まっている患者さんに対して、奥医師は「おへそを向いて、下向いて、手で邪魔してください。そうすると、ここにぐっと力がはいるんですよ。これがね、のみ込みの訓練になります」と、リハビリの具体的な方法を指導した。

 鎌田さん「リハビリが大事です。今、奥先生がいろいろ訓練の仕方を教えてくれたから、意識して、自分で今日から気合入れて!」

 患者さん「気合入れます!」

 実際に総合診療医による診察を見た医学生は…

 旭川医科大学・吹野さん「求められているのは専門家ではなく、地域全体を見ていて、患者さん一人一人に寄り添う形で、医療が求められているんだなと思って、そういう医療も良いものだと思いました」


■一人一人に寄り添う

 人生の最後を迎える時まで住み慣れた町で暮らすために「地域全体」で医療や介護をまかなっていくことを「地域包括ケア」という。「地域包括ケア」はこれまでのような縦割りの専門医だけではまかないきれない。

 超高齢化が進む中、総合的に全体を見ることができて、さらには、心のケアまで含めて、地域のことも考えてくれる、一人一人に寄り添うことのできる総合診療医がいるというのは、とても大事なことだ。

 鎌田さんは「これから医師を目指す学生たちの中に少しでも総合診療医を目指す人が出てきてほしい」と話す。

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