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麻央さん キャスターとして、妻・母として

2017年6月23日 15:47

 乳がんを公表してから、約1年。自宅で闘病生活を送っていたフリーアナウンサーの小林麻央さんが亡くなったことが分かった。34歳だった。

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 11年前の10月、麻央さんは、当時52年ぶりの新番組として始まった『NEWS ZERO』のキャスターの座に就いた。

 祖母が暮らしているなど新潟にルーツを持つ麻央さん。2007年には新潟県中越地震で被災した人たちに寄りそった。

 吉澤朱里ちゃん(当時11)「床がぬけてしまいました」

 麻央さん「本当だ、床がぬけてますね。壁も崩れて床に落ちて、全部下に」

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 取材は海外、そして“宇宙”にいたることも。
(2009年3月11日放送)

 麻央さん「左側に、ケネディスペースセンターと書かれた看板が見えました」「ここから打ち上げ台までの距離は1マイル、約1.6キロメートルなんですけれども、この距離でもかなりの存在感があります」

 発射間近のスペースシャトル。国際宇宙ステーションに設置される日本の実験棟「きぼう」の取材だった。若田さんの後輩にあたる宇宙飛行士の囲み取材にも参加。

 麻央さん「これまでと今回のフライト、特別な意味で違ったものがあると思うんですけれども、どういう意味があると思われますか?」

 宇宙飛行士・星出彰彦さん「長期滞在というのは非常に大きなステップだなと」

 スペースシャトルは打ち上げに成功し、日本の実験棟「きぼう」は数々の実験に利用されている。

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 その後、夫となる海老蔵さんと出会ったのは2008年12月。『NEWS ZERO』での対談だった。

 海老蔵さん「こんにちは」

 麻央さん「こんにちは、初めまして。『NEWS ZERO』の小林麻央です。よろしくお願いします」

 海老蔵さん「よろしくお願いします」

 麻央さん「すごく爽やかですね」

 海老蔵さん「爽やかですね。すみません涼しげな格好で、寒いのに」

 その後、2人は結婚。3年半務めたキャスターを辞め、梨園の妻となった。

 麻央さん「(Q:プロポーズの言葉は?)来世も再来世も一緒にいよう」

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 去年9月1日には、麻央さんは「KOKORO.」と題したブログを開設した。

(去年9月1日付ブログより)
  小林麻央です。

  今日から、
  ブログを書くことにしました。

  家族はとても、驚いています。

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(6月20日付ブログより)
  ここ数日、
  絞ったオレンジジュースを
  毎朝飲んでいます。

  正確には、自分では絞る力がないので、
  母が起きてきて、絞ってくれるのを
  心待ちにしています。

  朝から 笑顔になれます。

  皆様にも、今日 笑顔になれることが
  ありますように。

 ブログでこうつづっていた麻央さんが亡くなったことが、23日に分かった。34歳だった。

     ◇

 去年6月、麻央さんが「乳がん」と闘っていることを明かした夫の市川海老蔵さん。

 市川海老蔵さん(去年6月)「単刀直入に言うと乳がんですね。約1年8か月ほど前にわかりました」「進行具合に関しては、かなりスピードが速いもので」「比較的深刻ではあると思うんですね。でも今、抗がん剤治療をやっておりまして」

 患った“がん”は進行性で、入退院を繰り返しながら抗がん剤治療を受けていた。今年1月には放射線治療を終え、退院したが、4月に再び入院。その後、5月29日には退院し、自宅で過ごしていた。

(5月29日付ブログより)
  退院致しました。

  皆様、たくさん祈って下さり、
  ありがとうございました。

  やはり
  我が家は 最高の場所です。

 自宅で撮影した写真と共に、心境をつづっていた麻央さん。この日以降、自宅で治療していくことを明かしていた。

     ◇

(5月13日付ブログより)
  できることが少なくなっていく自分が
  怖くなってしまい、

  「こんなふうに色々
  手伝ってもらわないといけなくて、
  家に帰ったら帰ったで
  みんなが大変になっちゃうね。」

  と言ったら

  「いいんだよー。まおちゃんは
  生きててくれるだけで いいんだよ。」

  と言ってくれました。

  でも、私は母親だから、、、と
  思うと、急に胸が締め付けられます。

 放射線治療や痛み止めを打ち、懸命に自身の病と闘ってきた麻央さん。痩せていく自分の姿に、衝撃を受けたこともあったという。

(5月21日付ブログより)
  裸で鏡の前に立ってみると、
  私が恐れていた姿に近い身体が
  写っていて、一瞬 衝撃を受けたあと、
  泣いてしまいました。

  でも
  涙を流していてもどうしようもないこと
  に気づき、

  なんと!
  お粥半分以外、完食しました。

     ◇
 そして、4月22日以来、37日ぶりに麻央さんが帰ってきた。子供たちは「ママを何と言って迎えるか」話し合っていた。

(5月30日付ブログより)
  息子は、
  「ママ、おかえりー。あいしてるよ。」
  ぎゅー
  と実演していたそうなのですが、

  あまりにも 可愛い声のトーンで
  言うものだから、

  娘が、
  「何で かんげん 声変えるの?」と
  聞くと

  息子は「だって ママは可愛いから
  可愛く言うんだよ!」と答えたそうです。

     ◇
 キャスター、妻、そして母として生きた麻央さん。34年とあまりにも早い生涯に幕を下ろした。