富士山が噴火したら…火山灰でどんな被害が? 気象庁「降灰警報」新設を検討
富士山が噴火した際の首都圏への被害として、火山灰による大規模な交通障害などが想定されていますが、気象庁は12日、この火山灰に関する「降灰警報」の新設を検討する会議を開きました。
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もし富士山が噴火したら、どうなるのか?
火口から噴き出した噴石があたりに飛び散り、1000度を超えることもある溶岩流が市街地をのみ込んでいきます。さらに、ライフラインに甚大な被害を及ぼすとされているのが「火山灰」。その量は約5億トンで、空高く巻き上がると風に乗って都心にも到達します。
火山灰によって目や喉などに異常をきたすなど、健康被害も。また、灰が電線に触れることで停電が起きたり、水道施設に火山灰が降り、水が浄化できなくなって断水することも。さらに、携帯電話の基地局のアンテナなどに灰がつくことで、通信障害が起こることもあります。
影響は交通にも。線路や滑走路に灰が積もることで、電車や航空機が停止。道路状況や視界が悪くなるため車の運転も、危険な状況になることが想定されています。
火山大国ニッポン。過去に噴火したり、現在も活発な活動をしたりしている「活火山」が111も存在し、富士山や浅間山などが噴火すると、都心にも火山灰による甚大な被害が想定されています。
そんな火山灰などに備え、12日に行われたのは気象庁の検討会。大雨警報などのように「降灰警報」や「降灰注意報」を新しく作り、住民への注意喚起をすることなども検討されています。
東京大学名誉教授 藤井敏嗣座長
「ある種の警報はあった方が良いと私は思います。ただ他の方の意見ですと、情報がいくつも出てくるというのは複雑になりすぎるという前提はある」
内閣府によると、大規模な噴火が起きた場合、火山灰は富士山に近いところでは50センチ以上、神奈川・厚木市では20センチ以上、東京・新宿でも10センチほど積もる想定となっています。
10センチの火山灰でも、私たちの生活に大きな影響があります。
2021年に山梨県が行った、火山灰が積もった坂道を車で上がる実験映像では、四輪駆動以外の車は、火山灰の厚さが10センチ以上になるとタイヤが空転してしまい、動けない状態になりました。
気象庁によると、火山灰などへの備えとして、日頃から食料や水を備蓄するほか、灰を防ぐ「防塵(ぼうじん)マスク」や、コンタクトレンズの人は「メガネ」の準備が勧められています。
(2月12日放送『news zero』より)