液体ミルク解禁へ どんなメリットが?

日本で赤ちゃん用のミルクは、粉ミルクが主流だ。しかし、今年の夏から液体ミルクの製造と販売が解禁できるようにと、現在、厚生労働省で必要な省令の改定をすすめている。はたして、子育て世代の負担軽減となるのか。
生後2か月の赤ちゃんと出かけている女性。外出先でミルクを作るのは大変だという。給湯器のある授乳室を探し、まずは粉ミルクを入れたほ乳瓶にお湯を注ぐ。その後すぐ冷ますのだが、外だとずいぶん手間になる。女性はこう話す。
「普段はボウルに水を張って冷やしているんですけど、そういうことができない分、時間がかかりますね」
追い打ちをかけるようにして赤ちゃんが泣き出してしまった。おなかがすいて待ちきれない様子だ。
この女性によると、「家じゃないから、その辺にとりあえず置くっていうことができない。ひとりで粉ミルク作りは大変ですね。(液体ミルクなら)開けてすぐあげられるので待たせることもないし、うれしい」とのことだ。
液体ミルクとはどんなものなのか、液体ミルクの安全な普及を目指す団体の末永氏に聞いた。
主にアメリカやヨーロッパで売られている液体ミルクの一番の長所は、「開封してそのまま飲めること」なのだそうだ。粉ミルクよりは高いものの、状況に応じて“使い分け”ができるようになる。
そもそも液体ミルクの関心が高まったのは、東日本大震災と熊本地震の時だ。救援物資に海外の液体ミルクが届けられ、水道が使えなくてもそのまま使える利便性が注目された。
一見、万能な印象の液体ミルクだが、末永氏によると注意点もあるという。よく振ってから飲む必要があるという。ミルクの濃度が均一になっていないと、赤ちゃんの胃に負担がかかるそうだ。他にも、開けたら飲み残しはすぐに捨てなければならないという。
また、液体ミルクの需要が高まりすぎると、母乳での育児が減ってしまうことを懸念する声もある。母と子の育児支援ネットワークの本郷代表はこう話す。
「保育所が液体ミルクを備蓄した場合、賞味期限内に使い切りたいからといって母乳の預かりを拒否してはならないし、母乳育児を保護するため広告規制などもWHOの国際的な規準に沿って進めていくことが必要」
液体ミルクは、忙しい育児ママの助けになることが期待されている。