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広大な植物園が閉園 植物の“行き先”は…

2018年6月8日 18:49
広大な植物園が閉園 植物の“行き先”は…

去年、半世紀の歴史に幕をおろした植物園が、閉園から1年以上たった今もある問題に直面している。東京ドーム7個分という広大な敷地にあった数々の植物の譲り先が、決まっていない。一体、ナゼなのか。

“桜”を思わせる鮮やかな花が咲くキューバ原産の植物や直径90センチという巨大なサボテンなど。海を目の前にのぞむ「長崎県亜熱帯植物園」。約1200種類の植物が1969年の開園以来訪れる人を魅了し続けてきた。しかし-。

長崎県観光振興課、川端雄児課長補佐「過去、地滑りの影響で道路が陥没した。地滑りの多発地帯ということで閉園に至った次第です」

今後も地滑りの危険があるため、来園者の安全を考慮し去年3月、47年の歴史に幕をおろした。しかし、閉園に伴い新たな問題が浮上。

川端課長補佐「多くの植物があるというところもありまして、すべての“植物の移譲”を進めるのは難しいかなと考えています」

東京ドーム7個分の広大な敷地で約4万5000本の植物を展示してきたこの植物園。うち2600本については引き取り先が決まっているが、残る4万2400本の引き取り先は決まっていない。そのワケは-。

■植物譲渡進まないワケ(1)温室を持つ施設が限られる

長崎県亜熱帯植物園、峰克己さん「こちらは寒さに弱いので、かなり大きい温室がないと育てることができませんので、なかなか引き取り手が見つからない状態ですね」

大型の温室を持つ施設が限られること。

■植物譲渡進まないワケ(2)ノウハウを持つ施設が限られる

峰さん「水かけに関しても1年間のうちで大きくやらなきゃいけないところ、やってはいけない時があるので、そこらへんをきちんと分かっている施設がいいかと思います」

本来日本にはない植物が多いため、ノウハウを持った施設に限られることもひとつ。

■植物譲渡進まないワケ(3)輸送にかかるコスト

そして、大きな課題はやはり輸送にかかるコスト。例えば15メートルくらいある植物は、見た目とはうらはらにかわいい花を咲かせる園を代表する植物のひとつだが。

峰さん「重機をリースして、掘りとってトラック代と考えたら、数十万から数百万円かかってくると思われます」

■植物譲渡進まないワケ(4)県の条例による“制限”

県の施設ならではの課題も残されている。

川端課長補佐「“県の条例の規定”から、公益上の利益があるような施設を中心に移譲を進めているところで」

園の植物は県の財産とされるため、現段階では県の条例で、個人や企業への譲渡ができない。

閉園に伴い明らかになった植物の譲渡の難しさ。しかしそれでも-。

川端課長補佐「植物も生き物ですので、できるだけのことはしていきたいなと、いろんな方の目を楽しませるような第2の人生を送ってもらえばいいのかなと考えています」

来年4月までは1本でも多く植物の行き場を探していきたいとしている。