国交省がビッグモーターにヒアリング 損保との関係性にも厳しい目 客を紹介しあう“もたれ合い”?
中古車販売大手ビッグモーターが損害保険会社に保険金を不正請求していた問題で、国土交通省は26日、会社側へのヒアリングを行いました。ヒアリング後、和泉新社長は“説明は十分に果たせた”との認識を示しました。こうした中、ビッグモーターと損害保険会社との関係性にも厳しい目が向けられています。
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26日正午ごろ、国交省には、ビッグモーターの新社長に就任した和泉伸二氏の姿がありました。
ビッグモーター 和泉伸二新社長
「このたびは大変、お騒がせをしております。誠に申し訳ございません」
調査報告書をもとに、依頼されていない整備料金を請求するなど違反の疑いがないか、国交省から約2時間にわたりヒアリングされたのです。
午後3時ごろ、ヒアリングを終えた和泉新社長は「その内容につきましては、今日のところのコメントは控える」と述べました。説明は十分果たせたかと記者に聞かれると、「私どもはそう理解しています」と答えました。
国交省は違反の疑いがあれば、資料確認などのため問題店舗への立ち入りも行う方針です。
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和泉新社長は25日、涙ながらに会見を行いました。この会見後、ビッグモーターの現役社員によると、新社長から全社員に“あるメッセージ”が送られてきたというのです。
謝罪とともに“風土改革”と称して、「改革の第一弾としてまず全店のLINEの使用をすべて止めることにします。会社支給携帯に入っているLINEのアカウント削除をしてください」と書かれていました。
これを受け、26日、「過去の履歴の対策ではないか」と問われた和泉は「全く違います。改革の第一弾として伝えている。隠ぺいするのは、改革でもなんでもありませんから」と話しました。
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ビッグモーターと取引のあった損害保険会社3社は、その関係性にも厳しい目が向けられています。
3社のうち損害保険ジャパンは、不正があったビッグモーターの「板金塗装部門」などに37人の出向者を出していました。これは、ほかの2社に比べて10倍以上の多さです。不正行為が多く確認されている時期に「板金塗装部門」の担当部長を務めていた人もいたといいます。
この問題を取材する日本テレビの記者は、ビッグモーターと損害保険ジャパンなど3社には、“もたれ合い”の関係があったのではと話します。
日本テレビ経済部 広芝学記者
「車で事故を起こした際、保険契約者が大手損害保険会社に相談すると、修理工場としてビッグモーターを優先して紹介される構図」
事故を起こした保険の契約者が、損害保険会社に相談に行くと、ビッグモーターの修理工場を紹介され、ビッグモーターに修理費用として保険金が支払われる仕組みだったといいます。
逆に、ビッグモーターが中古車を販売する際、修理を紹介してくれた見返りとして、紹介数に応じて、購入者が加入を義務付けられている保険(自賠責保険)を割り振って、契約していました。
つまり、お互いに客を紹介しあい、メリットが生まれていたというのです。
日本テレビ経済部 広芝学記者
「関係者によると、昨年度のビッグモーターから割り当てられた損害保険の契約件数は、損害保険ジャパンが特に多かったということです」
こうした状況などを踏まえ、鈴木金融担当相は25日、ビッグモーターと損保会社各社に対して調査を始めていることを明らかにしました。
また、関係者への取材で、金融庁が保険の契約者の保護などを目的とする「保険業法」に基づく報告を求める命令に向けて調査をしていることも新たにわかっています。