【2024“荒れた都知事選”】「恥ずかしい」「これが民主主義」 ポスター掲示板、有権者はどう見た?
■「選挙が荒らされて恥ずかしい」
港区内の中学校に設けられた投票所。親子3人で投票に来た30代の女性は。
30代女性 会社員
「家の近所に掲示板があるんですけど、ワンちゃんのポスターがはってあって。息子は『かわいい!』って言ってましたけど…」
「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首がジャックした愛犬だらけのポスター掲示板を目撃したといいます。
30代女性 会社員
「ただの売名行為ではってあるポスターがあまりに多すぎて、本当に大切な人が見えない。情報を集めるのに苦労しました。ああいう形で選挙が荒らされているのは恥ずかしい。子どもや外国人観光客が見たらどう思うのか…」
母親と2人で投票にきた18歳の女性。有権者になって初めての投票でしたが…。
18歳女性 学生
「すごく大事な都知事選なのにふざけたように見える。選挙に行きたくなくなった」
ポスターに書かれた犬の名前を、候補者の名前だと勘違いしていたといいます。
18歳女性 学生
「何だかよく分からなかった。そういう名前の人が立候補しているのかと思った」
それでも母親に誘われ投票を決意。真剣に候補者を選んだといいます。
女性の母親
「選挙や政治に関心をもってもらう狙いのようですが逆効果。全然意図が伝わってきません」
■「これが民主主義」
一方で、理解を示す声も。
40代男性 会社経営
「これが民主主義だと思う。ああいう形で注目されて、皆さんが選挙に行こうと思えばいいんじゃないかな。これじゃいけないと思えば正しい候補者を選ぶだろうし、有権者もちゃんと勉強しないといけないんじゃないかと思う」
■“ほぼ裸の女性”…「常識を疑う」
掲示板を巡るトラブルはほかにも。
ほぼ裸の女性のポスターがはられ警視庁が候補者に警告をする事態となった新宿区。
小学生の娘と投票に来た50代の男性は。
50代男性 会社員
「情けない。日本もここまで落ちちゃったかと。あれを掲示した人の常識を疑います。子どもを持つ親としては大人の判断でやめてもらいたいです」
NHK党による事実上の掲示板の“販売”については。
50代男性 会社員
「言語道断だと思います。お金もうけをしているなら何らかの法律で裁かれるべきです」
“荒れた掲示板”をみて逆に奮起したという声も。
30代女性 会社員
「選挙に行く気がちょっとうせたり、やる気がなくなったりはしましたけど、それに負けるのは嫌なので私は投票にきました」
60代男性 自営業
「しっかりしなきゃ!ってこと。僕らは民主主義って崇高なものだって教えられて育った。ダメって言ってないじゃん、法律違反じゃないじゃん、だからやっていいんだっていうならすごく将来不安だね。色んな意味で危機だと思うよ」
■ポスター掲示のあり方「検討も必要」
選挙制度や投票行動に詳しい専門家は“荒れた掲示板”は有権者にも影響を与えかねないと指摘します。
早稲田大学政治経済学術院 日野愛郎教授
「本来は代理人であるリーダーを選ぶ神聖な選挙であるはずが、光があたるべき政策や人柄ではなく、そうではないポスター問題に光が当たってしまいました。このことが中長期的に有権者に与える影響は無視できません。まじめにやっていないと映る候補者たちの言動を見て、有権者の中には選挙への忌避感、選挙が嫌だという感情が生まれてしまっている可能性があります」
そのうえで、ポスター掲示のあり方について今後、検討していく必要もあるのではないかと話します。
早稲田大学政治経済学術院 日野愛郎教授
「今回はこれまで保たれていた『社会的な規範』の一線が著しく破られ、政治的なメッセージとはかけ離れた売名や営利活動と思えるようなものも非常に多くみられました。問題を解決するためには、掲示するポスターの内容について何らかの基準を設けることなどを、是非も含めて検討してもよいのではないでしょうか。もちろん、公的機関による掲示内容の制限はないに越したことはないので慎重な検討が必要ですが」
●2024“荒れた都知事選”
過去最多となる56人が立候補した2024年の東京都知事選挙。
日本テレビ報道局調査報道班は、"荒れた都知事選"をいろいろな側面から徹底取材しています。
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