「風邪で抗生物質」なぜ間違いなのか?
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「抗菌薬・抗生物質、正しい理解を」。日本テレビ社会部・畑山友花解説委員に聞いた。
国立国際医療研究センター病院が行ったアンケートによると、抗菌薬や抗生物質は、風邪やインフルエンザに効かないにもかかわらず、2人に1人が「効く」と誤った認識をしていることがわかった。さらに、風邪で受診した時に「どのような薬を処方してほしいか」との問いには、「抗菌薬や抗生物質」を希望する人が30%いたという。
――このような誤った認識というのが広がっているんでしょうか。
フリップに「むやみに抗生物質を求めない!!」書いてみました。抗菌薬とか抗生物質という言葉は聞いたことはありますか。
――抗生物質は聞いたことがあります。
同じアンケートでは、抗生物質や抗菌薬を聞いたことがあるという人は、95%にのぼります。しかし、よくわからないという人は28%ほどいたんです。でも、実際に知っているかどうか微妙な人はもっと多い気もします。
――では、実際に抗菌薬や抗生物質というのはどういう病気に効くのでしょうか。
5割の人がインフルエンザや風邪に効くと思っていたようですが、抗菌薬・抗生物質は「かぜ」「インフルエンザ」「ノロウイルス」には効きません。効くのは「肺炎」「中耳炎」「膀胱(ぼうこう)炎」などです。
――効かないのに患者自身が求めている現状があるようですが、どうしたらいいのでしょう。
例えば「喉がイガイガする」「鼻水が出る」などの症状から、患者自らから「こんな薬をください」と結構オーダーしているものなんですね。アンケートによれば、患者の3割ぐらいが自分から「抗生物質ください」と医者に言っているという調査結果も先ほど出ていました。実は、私の母親も昔、風邪薬を抗生物質と呼んだりなど、間違った使い方をしていました。
今回、なぜこういう話をしたかというと、「風邪には抗生物質は効かない」と。ただ、1割ぐらいは菌が原因した風邪もあるのですが、ほぼ9割はウイルスが原因なので、診察で自ら医者に抗生物質を求めるのは間違いかなと思います。
さらに今、「抗生物質を求めない」ということが世界的な問題になっているんですね。抗生物質と、それに効く菌は“いたちごっこ”になっています。ある抗生物質に対して、耐性を持つ菌が現れる――つまり菌がバージョンアップして、どんどん強くなっていくと。そして、これに効く抗生物質をさらに開発していく必要が出てきます。
この抗生物質が効かない菌が誕生してくることで、死者が増えるという報告をWHOは出していて、それぞれの国に抗生物質を削減するような計画を出しなさいというところまできています。
日本は、東京オリンピックがある2020年までに、医者が処方する抗生物質を33%減らすという目標を掲げています。この機会に、医者も適切に抗生物質を出してほしいし、私たち患者は「抗生物質ください」というのは間違いであるということを知ってほしいと思います。
■畑山友花プロフィル
日本テレビ社会部解説委員。これまで、司法や警視庁担当として、世田谷一家殺害事件などを報道。その後、読売新聞医療部に出向し、子宮頸がんワクチンに関する取材を行った。現在は、厚生労働省担当記者として、医療問題や働き方改革を中心に取材を続けている。
【the SOCIAL opinionsより】
国立国際医療研究センター病院が行ったアンケートによると、抗菌薬や抗生物質は、風邪やインフルエンザに効かないにもかかわらず、2人に1人が「効く」と誤った認識をしていることがわかった。さらに、風邪で受診した時に「どのような薬を処方してほしいか」との問いには、「抗菌薬や抗生物質」を希望する人が30%いたという。
――このような誤った認識というのが広がっているんでしょうか。
フリップに「むやみに抗生物質を求めない!!」書いてみました。抗菌薬とか抗生物質という言葉は聞いたことはありますか。
――抗生物質は聞いたことがあります。
同じアンケートでは、抗生物質や抗菌薬を聞いたことがあるという人は、95%にのぼります。しかし、よくわからないという人は28%ほどいたんです。でも、実際に知っているかどうか微妙な人はもっと多い気もします。
――では、実際に抗菌薬や抗生物質というのはどういう病気に効くのでしょうか。
5割の人がインフルエンザや風邪に効くと思っていたようですが、抗菌薬・抗生物質は「かぜ」「インフルエンザ」「ノロウイルス」には効きません。効くのは「肺炎」「中耳炎」「膀胱(ぼうこう)炎」などです。
――効かないのに患者自身が求めている現状があるようですが、どうしたらいいのでしょう。
例えば「喉がイガイガする」「鼻水が出る」などの症状から、患者自らから「こんな薬をください」と結構オーダーしているものなんですね。アンケートによれば、患者の3割ぐらいが自分から「抗生物質ください」と医者に言っているという調査結果も先ほど出ていました。実は、私の母親も昔、風邪薬を抗生物質と呼んだりなど、間違った使い方をしていました。
今回、なぜこういう話をしたかというと、「風邪には抗生物質は効かない」と。ただ、1割ぐらいは菌が原因した風邪もあるのですが、ほぼ9割はウイルスが原因なので、診察で自ら医者に抗生物質を求めるのは間違いかなと思います。
さらに今、「抗生物質を求めない」ということが世界的な問題になっているんですね。抗生物質と、それに効く菌は“いたちごっこ”になっています。ある抗生物質に対して、耐性を持つ菌が現れる――つまり菌がバージョンアップして、どんどん強くなっていくと。そして、これに効く抗生物質をさらに開発していく必要が出てきます。
この抗生物質が効かない菌が誕生してくることで、死者が増えるという報告をWHOは出していて、それぞれの国に抗生物質を削減するような計画を出しなさいというところまできています。
日本は、東京オリンピックがある2020年までに、医者が処方する抗生物質を33%減らすという目標を掲げています。この機会に、医者も適切に抗生物質を出してほしいし、私たち患者は「抗生物質ください」というのは間違いであるということを知ってほしいと思います。
■畑山友花プロフィル
日本テレビ社会部解説委員。これまで、司法や警視庁担当として、世田谷一家殺害事件などを報道。その後、読売新聞医療部に出向し、子宮頸がんワクチンに関する取材を行った。現在は、厚生労働省担当記者として、医療問題や働き方改革を中心に取材を続けている。
【the SOCIAL opinionsより】