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五輪の渋滞対策、高速料金はいくらになる?

2019年2月15日 15:45
五輪の渋滞対策、高速料金はいくらになる?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「東京オリンピック・パラリンピック 渋滞対策は?」。日本テレビ社会部・杜雲翼記者に聞いた。

来年の大会期間中、渋滞対策をどうするか、大会組織委員会や東京都などが現在、検討している。その中の案として有力なのが、時間帯に応じて首都高速道路の料金を変えるという対策。具体的には、通行量の多い時間帯に料金を引き上げる一方、通行量の少ない時間帯には料金を引き下げるというものです。


――渋滞対策、関心が高いと思うんですが、実際どうなるんでしょう。

難しい部分もありますが、成功の鍵となるキーワードは『丁寧な合意形成』ということを挙げました。大会期間中は選手や観客など、多くの人や車両が行き交います。仮に、何も対策しないと、交通量は今の2倍ほど渋滞すると試算されているんです。

そのため大会組織委員会や東京都は、大会の期間中、車の交通量を今よりも15%程度減らしたいとしています。これくらい減らせれば、今の休日程度の交通量になるということです。


――具体的にはどういう対策があるのでしょう。

一番、重視されているのは、TDM(交通需要マネジメント)という手法です。基本的には、企業や一般の利用者に対して、“お願いベース”でやっていくもので、例えば「テレワーク、時差通勤」「自家用車の利用を避ける」「物流会社などに対して、配送のルートなどの変更」「一般の人に対して、まとめ買い」などの呼びかけをしています。


――効果はどうなりそうですか。

効果はあるんですが、実はシミュレーションの結果、現状これだけでは、首都高速道路の混雑を思ったほど減らせないことがわかったんです。そこで、追加の対策として、3つの案が出されました。いずれも、「大会期間中に限定し、物流車両には適用しない」という前提ですが、「(1)首都高速の料金変動」「(2)ナンバープレート規制(例えば、特定の日はナンバーの末尾が偶数の車両しか通れないなどの規制)」「(3)複数人車両の専用レーン」、この3つの案があがっています。

このうちの(2)と(3)は、過去の大会で導入された対策ですが、東京の場合は実効性が低いといわれています。というのは、ナンバー規制を行うと、いきなり半分の交通量になります、つまりそこまでやる必要があるのかというのが一つ、ある政府幹部は、「一律のナンバー規制はやらないし、できない」と明言しています。(3)の複数人車両の専用レーンも、チェックする人手と、機器が必要になるなどハードルがなかなか高いです。


――ということは、(1)の料金変動の可能性が一番高いと。

そうですね。では具体的にどうやって料金を変動するかというと、交通量の多い時間帯を値上げするんですが、どれくらい値上げすると、どれくらい交通量を削減できるのかということを過去に値上げした際のデータなどを基にシミュレーションする必要があります。


――いろんな選択肢がありますが、例えばプラス3000円というのは車を使っている人から見ると影響が大きいですね。

そうですよね。首都高速の料金は、ETC利用の普通車の料金は、現状、上限でも1300円ですので、3000円はかなり高くなります。現実的なラインは、500円~1000円程度ではないかといわれています。

ただこれを実施すると、今度は一般道がかえって混雑する可能性もあり、また、値上げだけでは不公平感があるので、一部時間帯だけは、値下げするべきではということも議論されています。


――いずれにせよ、東京にオリンピックがくるわけですから、みんなの合意形成というのが本当に大切になりますね。

やはり丁寧な合意形成を心がけて、透明性の高いオープンな議論をしてほしいと思います。


■杜雲翼プロフィル
日本テレビ社会部記者。東日本大震災や福島第一原発事故、労働問題などの取材にあたってきた。ロンドンオリンピックを取材した経験を踏まえ、現在は、東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みを中心に、スポーツ団体の問題についても取材を続けている。


【the SOCIAL opinionsより】