冬の味覚「フグ」を“無毒”で養殖

冬の味覚の代表格といえばフグ。そのフグをめぐり、今、ある取り組みが広がっている。フグは死に至ることもある猛毒を持つことで知られているが、その毒を持たないフグの養殖が各地で行われている。無毒のフグ、ヒミツはどこにあるのか?
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国産フグの鍋が味わえるという店で、沸騰した鍋に入れられるのは、肉厚のフグ。
客「(フグの)身の方が好きです。しゃぶしゃぶにしてもおいしいかな」
客「しっぽですかね。そこは一番食べやすい。から揚げがおいしいですね」
今月は、1年の中でも取扱量が最も増えるため、まさにフグの旬。しかし近年、フグをめぐって、“深刻な問題”が起きている。
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フグの研究に取り組む水産大学校の調査映像を見ると、水揚げされたフグに、異変が…
水産大学校・高橋洋准教授「触ってみると、これがもう“雑種”ですね。これもそうだ。」
水揚げに交じっていたのは、種類の違うフグ同士から生まれた“雑種のフグ”。実は、ここに問題が…。
水産大学校・高橋洋准教授「雑種のフグというのは、毒がどこにあるのかわからないので、食用にすることができない」
皮や筋肉などに毒があるショウサイフグと、皮などに毒があるゴマフグから生まれた雑種のフグ。実は、毒がある場所が、親と異なるケースがあって危険なため、食用が禁止されている。また、見た目が似ているため、選別には専門的な知識が必要だという。
高橋准教授によると、近年、海水の温暖化により、フグの生息域が変化したことで、雑種のフグが増加。今年、宮城県沖の調査では、こうした雑種のフグが、水揚げの2割強に及んだという。
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食べたら死に至ることもあるフグの毒。今、そんな心配を払拭する試みが各地で、広がっている。
今年2月にオープンしたという、岩手県の養殖場。養殖していたのは“フグの王様”とも呼ばれるトラフグおよそ3000匹。その最大の特徴は…
一山商事、養殖技師・安本鉉さん「特徴は毒がないこと。(無毒の)エサのみを与えていますので、毒を持たないということです」
フグは、生まれた時から毒があるわけではなく、海で食べた有毒プランクトンの毒を体内に蓄積していき、これが、フグ毒になるという。
肝臓を食べることはまだ認められていないが、養殖のフグは、無毒のエサを与えているので毒を持たないという。
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このフグにはさらにもう1つ特徴が…
一山商事、養殖技師・安本鉉さん「天然モノになりますと、(成長に)2年ぐらいかかりますけど、養殖フグは1年になります」
“成長スピードの速さ”。そのヒミツは、いけすにあった。
一山商事、養殖技師・安本鉉さん「こちら、温泉水になります。温泉組合からいただいてる温泉のお湯です。泉質が弱アルカリ性ですが、それが海と同じなので、とてもすごしやすくなっています」
いけすの水は、地元の温泉組合からもらった温泉水。フグの成長に最適な20℃に保たれているほか、海と違って病原菌もいないため、成長サイクルが早く“価格が抑えられる”という。
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気になるのは味。地元のレストランで、調理してもらった。
記者「天然のトラフグと遜色ないですね。むしろさくさくというような歯ごたえを感じます」
駒ヶ岳グランドホテル・出町智秀調理長「舌で感じられる甘さも特徴になっています」
新たに開発した無毒フグに対し、町も観光資源になると期待を寄せている。
プラザホテル山麓荘グループ・佐藤和人総支配人「地元という部分で新しい特産、観光商材としてトラフグを、東北全体の活性化につながっていければいいと思います」
無毒のフグをアピールし、地域の発展を目指すという。