電柱に生鮮食品も!再配達減らす“新方法”
深刻な人手不足が続く宅配業界。まさに今、1年の中でも最も忙しい時期を迎えている。そうした中、宅配業者の大きな負担となっている再配達を少しでも減らそうと“新たな方法”で、荷物を受け取る取り組みが広がっている。
18日、東京・中央区の銀座郵便局。1年の中で最も荷物の取扱量が多くなる今月。日本郵便によると、他の月と比べて1.5倍の量になるという。そんな中、困っているのが、配達先が不在で改めて配達することになってしまう「再配達」。
日本郵便・三苫倫理さん「ご自宅にいらっしゃらないときに配達をしてしまう。いわゆる再配達問題がこれまで以上に大きな課題」
21日に国土交通省が発表した最新の再配達率は、配達される荷物全体の約15.2%にものぼっている。そんな再配達を減らそうと駅やオフィス、商業施設にも宅配ロッカーが整備。さらに、玄関の前に置かれたバッグなどを届け場所として指定して、不在でも荷物が受け取れる取り組みも始められている。
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そんな中、宅配ロッカーに新たな形が。京都のベッドタウンである精華町を訪ねると、宅配ロッカーが屋内ではなく路上にある電柱に取り付けられていた。なぜ電柱に取り付けたのだろうか?
関西電力、経営企画室・田村慎吾マネジャー「電柱はどこにでもあって、電源が取れるという特徴がございます」
交通の妨げなどにならなければ、どの電柱にも設置できるという。現在、この宅配ロッカーは、近くにあるマンションの住民向けに置かれている。宅配業者が荷物を入れる際には、届け先の部屋番号の入力が必要。住民には荷物が届いたことがメールで通知され、あらかじめ設定した暗証番号を入力するなどすると、荷物が取り出せる。
また、屋外に設置されていることから、防犯カメラも内蔵されていて、セキュリティー面での対策もとられている。現在は試験運用中だが、今後、実用化も検討しているという。
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一方、宅配ロッカーに頼らない受け取り方もある。インターネット広告を扱う名古屋市の会社「カルテットコミュニケーションズ」では、この日社員宛ての荷物が届いた。荷物を頼んだのは男性社員。すぐさま段ボール箱を開けると…出てきたのは赤いボトル。
水野太さん「(Q.何を頼んだ?)奥さんへのプレゼント用に化粧水を買いました」
仕事とは関係ない「個人的な荷物」を社内で受け取っていた。
水野太さん「基本的に社内で使う物というよりかは、プライベートで使う物を受け取るのが多い」
荷物の配達先を自宅ではなく会社にしているため、勤務中でも荷物が受け取れる。
一方、荷物はこちらの女性にも。
野田菜乃さん「多いときには月に2~3回ぐらいは、会社に届けてもらっています。(社内で受け取るのは)洋服だったりとか(仕事に)全然関係ない物ばかりです」
また、女性ならではの理由も。
野田菜乃さん「会社から家に帰ると、夜遅くとかになってしまうんですけど、そのときに(対面で)受け取るとなるとちょっと怖い」
実はこの会社。個人の荷物を社内で受け取ることを推奨している。
堤大輔代表「僕らの取り組みだとコストがかからないので、中小企業だらけの日本ですので、一番救える人が多い対策と思っています」
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そして、さらに進化した荷物の受け取り方もある。都内にあるお酒の販売店の入り口に近くに置かれた黒いボックス。同じボックスは、ドラッグストアの店内にも置かれていた。実はこれ、再配達になってしまうと、最も困る生鮮食品が受け取れる専用の冷蔵庫。
料理レシピサービスを運営する「クックパッド」が、今年9月から始めた食材の受け取りサービス。注文は、スマートフォンのアプリで、欲しい食材を選ぶだけ。翌日の好きな時間に受け取れる仕組み。この冷蔵庫はクックパッドの社内でも使われていた。
クックパッド・長野佳子さん「私は帰りに買い物に行けないので、子どもがいるのでなるべく早く帰りたくて」
仕事終わりに、保育園に子どもを迎えに行くために活用しているという。
このサービスについて担当者は。
クックパッド買物事業部、福崎康平部長「(食材が)当日中に受け取れるならまだいいが、明日(再度)持ってきますとか、週末にしか受け取れないとなると、やはり鮮度が腐ってしまったり、品質が著しく落ちたりしてしまうので、再配達がない配達を目指してこれらのサービスをつくっている」
現在、5店舗で食材が受け取れるこのサービス。クックパッドは今後、サービスの対象地域や受け取れる場所を拡大していきたいとしている。