“赤く光る目”と“鳴き声”で威嚇 害獣対策のオオカミ型ロボット「モンスターウルフ」が進化
目から赤い色の光を出してシカやイノシシなどの野生動物を威嚇するオオカミ型のロボットが注目されています。田畑だけでなくレジャー施設でも導入されていて、12日に最新版ロボットがお披露目されました。
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北海道の町工場が開発したオオカミ型のロボット「モンスターウルフ」。“オオカミの遠吠え”などおよそ70種類の音や、点滅するLEDの光で“威嚇”。サルやシカ、クマも一目散に逃げ出します。
今回、新たに大手自動車会社とのタッグで“進化版”を完成させ、12日に初公開しました。
スズキ・Eモビリティ開発部 林邦宏さん
「モンスターウルフを“のっけて”獣害対策をしようというものです」
最大の特徴は、電動の台車にのせることで動きが追加されたことです。従来の固定式よりも威圧感が増し、移動することで音が届く範囲も広がるということです。
昼は台車からオオカミをおろし、農作業に使うことも可能です。今後、GPS機能を搭載し自動走行を実現することで、被害に悩む農家の負担軽減につなげたいとしています。
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そもそもこのオオカミ型ロボット。当初はその“見た目”から…
モンスターウルフの開発者 太田精器・太田裕治代表取締役
「(当初は)こんなもん効果あるのかと、ほとんど笑われてバカにされたこともあったけど、現在は全国で130台ほど出ております」
北海道に多いシカ対策として開発されましたが、イノシシに芝生を食い荒らされるなどの被害に悩んでいたゴルフ場も導入。
同じくイノシシによる被害に悩んでいたことから、2021年に導入を決めたのが富山県の小矢部市です。
以前は“電気柵”だけで対策していました。
小矢部市農林課 篠原和真主事
「(電気柵の)線に草がついてるので、漏電してしまいますので得られる効果が小さい。(電気柵を)管理している方も高齢化しているので」
高齢化する農家などの負担を軽減するために設置したところ、被害額は4分の1以下に減少しました。
◆小矢部市の鳥獣被害額
2019年度 412万円
2021年度 100万円
近隣の農家
「(当初は)夜見ると大人もビックリですね。(設置後は)イノシシの通った跡が少ないんじゃないかな」
最初は驚いた農家や住民も今では期待をしています。
ちなみに、小矢部市の桜井森夫市長自らも声を吹き込んでいます。
「イノシシよ、山へ帰れ。ここはお前たちの来るところではない」
これも“期待の証し”です。
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今年の夏にはJICAが発展途上国の研修員に実演するなど、活躍の場を広げる“オオカミ型ロボット”。
モンスターウルフの開発者 太田精器・太田裕治代表取締役
「(野生)動物を殺さず人間と共存できる獣害対策装置ということであれば、世界に羽ばたいていける」
その目は世界を向いています。