「ワークライフバランス」その理想は?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「ワークライフバランス、取れていますか?」。日用品ブランド「和える」の代表・矢島里佳さんに聞いた。
人材総合サービスのエン・ジャパンがワークライフバランスについて、約1000人に調査を行ったところ、「バランスが良い」と答えた人は27%で、1年前より9ポイント多い結果となった。ネット上では「働き方改革?この1年でバランス良くなった」「残業減って時間の余裕できたけど何しよう…」「社畜から脱出できない」という声が聞かれた。
――矢島さん、いかがでしょう。フリップをお願いします。
『生きる=働く+家族+食べる+遊ぶ+寝る(8時間)etc…』と書きました。私たちの会社の働き方は、「生きる」と「働く」のバランスをどうとるかとは考えていません。
――ここでは「ワークライフバランス」という言葉がありますよね。
それはたぶん、バランスを取れないと思うんです。「生きる」という大きな範囲の中に、「働く」が入っているという考え方なんです。やっぱりそれが私たちの人生だと思うんですね。その中に、こうして、例えば私は8時間寝るので、24時間のうち3分の1は寝ています。残り3分の2を食べたり、遊んだり、家族と過ごしたりといった時間の使い方をします。だから働くっていうのは、大きさを自分で変えてもいいんですよね。
――具体的にいうと、どういうことに取り組まれてますか?
私は本当に、生きると働くがうまくいっている時は楽しい、楽しくないときって、すべてがうまくいかないと思うんですよ。だから自分がどれくらい働けるのか、どれくらい休むべきなのか、いつも自分に問いかけるんですね。自分と対話するんです。
――それを社員の方とも共有されているわけですか。
だから、私の会社の社員もひとりひとり雇用形態が違うんです。人によって週5日がいい人もいれば、週3日がいい人もいる、会社側が決めるのではなくて、働く人たちが、自分の「生きる」を見つめ直して、どんな生き方をしたいかから「働く」をいっしょに考えていくんですね。
――いま、このワークライフバランスがいいか悪いかということを問われていますが、これは将来的にはどうなっていけばいいと思いますか。
私は、大きな「生きる」の中で、どんな時間の使い方をしたいのか、そして働くということを分ける必要はなくて、両方が“和(あ)えられていく”と。線引きしなきゃと考えるとそれがストレスになるので、働いたときに得たことが生きている中でも役立ったり、生きることで得たものが、働く中でも役立つ、そういう“和える”が進んでいくと、バランスではなくて一体化していくのかなと思います。
■矢島里佳さんプロフィル
日用品ブランド「和える」代表。職人と伝統の魅力にひかれ、大学時代から全国をまわり、日本の伝統文化などの情報発信をスタート。日本全国の伝統産業の職人とともに作る器や染め物など日用品のオリジナルブランドを展開。心がけているのは、赤ちゃんから大人でも使えるデザイン。オンラインショップに加え、東京などに直営店を構えながら、職人の技術をいかしたホテルの客室のプロデュースなど日本の伝統を次世代につなぐ様々な取り組みをしている。
【the SOCIAL opinionsより】