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「がんノート」闘病中の人へ込めた思い

2019年2月1日 16:40
「がんノート」闘病中の人へ込めた思い

2月4日は「世界がんデー」。今回は、がんを経験した人から必要な情報を聞き出し、闘病中の人へ向けて動画を配信している男性の活動を取材しました。


■がん経験者が情報発信「がんノート」

インターネット上のウェブ番組「がんノート」。がんを経験した人から、がん患者に向けて、5年前から日々の生活に関わる情報を放送しています。

制作しているのは、NPO法人がんノートの代表・岸田徹さん(31)。自身も7年前、精子のもとになる細胞ががん化する「胎児性がん」と診断されました。現在は経過観察中で、3年前に結婚しましたが、自然妊娠が望めないため、どうしたら子どもができるか、夫婦で悩んでいるそうです。

岸田さん「性機能の後遺症で、普通に子どもができない体になってしまったんですよね。インターネットで検索しても、ぜんぜんそういった情報もなくて、先生に聞いてもわからない、ってなったときにすごくお先真っ暗な気がして、それがちょっと苦しかった、どうしようと…」


■「お金」「家族」「性」の悩みは誰に?

気付けば治療についての情報は医師に聞けても、社会の中で、お金や家族、性のことなどがん患者の生活に直結した情報がほとんどない…そうした状況を変えたいと始めたのが、ウェブ番組「がんノート」でした。

先月行われた101回目の収録の様子。国立がん研究センターの一室で行われ、この時は、患者やその家族ら約20人が見学していました。収録で心がけているのは「具体的な情報」。そしてもうひとつ、大切にしているのは“笑い”です。

がんノートスタッフ・福岡さん「最初大学病院でがんです、って言われたときに、親御さんに連絡した?」

岸田さん「そのときに一番初めに連絡したのが、実は…(元上司の)田島さんです」

田島さん「ご家族にも伝えたんだよね、って聞いたら『まだ伝えてないです』って(笑)。え、最初に俺か!?って」


■“笑うことの大切さ”強く意識

実は、岸田さんに、“笑うことの大切さ”を再認識させてくれた、ある忘れられない出来事があったといいます。それは、約3年前の収録の時、出演していたのは、骨肉腫をわずらっていた、当時22歳の原澤つぐみさんでした。

当時の原澤さん「確かにつらいこととか、涙することいっぱいあると思うんですけど、それと同じぐらい笑うことも絶対あると思うんです。“幸せだから笑うのではなくて、笑うから幸せ”です」

そう、いきいきと語った、つぐみさん。翌年、23歳で亡くなりました。

岸田さん「笑うから今を幸せだと、瞬間瞬間をもって生きられるんだ、っていうことを思って、自分もそれからすごく笑いとかも意識するようになりました」

岸田さんはいま、がんノートの制作だけでなく、毎月、企業や学校を訪問し、「がん教育」を行っているんです。そこでも大切にしているのは「笑い」でした。今後の目標について聞いてみると――

「首都圏だけではなくて、地方で公開生放送だったりとか、海外の患者さんだとか、そういったところの懸け橋になっていきたいなと。がんになっても、笑って輝ける社会をつくっていきたいなと思っています」

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