宿泊施設のバリアフリー、どこまで可能?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「進むのか?宿泊施設のバリアフリー」。みんなでつくるバリアフリーマップ「WheeLog!」を運営する織田友理子さんに聞いた。
2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、国土交通省は高齢者、障害者などが、より円滑にホテルや旅館を利用できる環境整備を推進するため、検討会を設置し、議論を進めている。また、東京都は今後、新築や増築する部分の床面積が1000平方メートル以上のホテルに、客室の出入り口は80センチ以上、トイレや浴室の出入り口は70センチ以上を全室で確保することを義務化する全国初の条例案を作成。今年9月の施行を目指している。
ネット上では「パラ大会までに本当に対応できるの?」「机上の話じゃなく本当のバリアフリーを!」「少しでも障害解消につながるならありがたい」といった声が出ている。
――織田さんが出したキーワード『相互理解』です。
そうですね。障害者側としては、たくさんやっていただけたら、すごくうれしいんですが、それを全部やっていくのは難しいと思うので、歩み寄りというのも必要だと思います。実は、私はこの東京都の委員をしていますがやはりいろいろな議論があります。これから進むホテルの建設において、少しでもバリアフリーが進めば、今回のオリンピック・パラリンピックが大きなきっかけになると思います。
――やはり大きな国際大会が、議論を大きく加速させているということなんでしょうか。
そうですね。そうじゃなかったらこんな話にはならなかったと思います。
――実際、委員会の中にいて、議論というのは順調に進んでいる感じがしますか。
いろいろあるので順調にとは言えないかもしれませんが、やはりみんなが「より良い世界をつくっていく」という目的で、話し合いが進んでいるので、とても良いきっかけではあると思います。
――さきほどの話の中で、客室の出入り口は80センチ以上、トイレや浴室の出入り口は70センチ以上という数字が出てきましたが、実際に織田さんが乗られている車いすの幅は何センチなんでしょう。
61~62センチ位だと思います。
――となるとトイレ・浴室が70センチ以上だというのは…
ギリギリだと思います。でもそのギリギリだとしても、何かあった時に、泊まれる客室があるというのは、すごくありがたいことだと思います。もちろん80センチあればうれしいですが、それを押しつけるのはホテル側にとってもすごく負担になってしまうと思います。相互理解が大事だと思います。
■織田友理子さんプロフィル
みんなでつくるバリアフリーマップ「WheeLog!」を運営。WheeLog!は車いすで通った道のりを地図上に描く走行ログ機能を活用して「車いすで通れるマップ」を作成するアプリ。その他、建物や設備のバリアフリー情報を登録することができる。織田さんは、バリアフリー情報を動画で紹介する「車椅子ウォーカー」も運営。日本のみならず、ハワイ、台北、バンクーバーなど世界中のバリアフリー情報を発信している。
【the SOCIAL opinionsより】