列車、バス、船…乗り物で堪能“地元食材”
おいしそうに焼きあがった海の幸!このバーベキュー、実は船の中で行われている。地元の食材をいかした料理を乗り物の中で楽しむツアーが、いま、次々と登場している。
◆列車で福岡を縦断しながら、本格コース料理を
牛肉のローストに野菜をふんだんに使った料理の数々。この料理が食べられるのは、高級レストラン…ではなく、列車の中。白一色に網目模様が特徴的な車体は、キッチンクロスをイメージし、清潔感を演出したという。車内には、まるで本格的なレストランのような空間が広がる。
そして、なんといってもこの列車のウリは、車内のキッチンで作るコース料理。沿線の旬の食材にこだわっている。まずは、福岡の名産のイチゴ「あまおう」とトマトをバゲットにのせた一皿で始まり、地元の野菜を素材の味そのままに楽しめる、女性にうれしい野菜のプレート。福岡県を縦断しながら「地域を味わう列車」として、西日本鉄道が今年3月から運行している(『福岡・西日本鉄道 THE RAIL KITCHEN CHIKUGO』金・土・日・祝のみの運行)。
地元でしか食べられない特産品を使った料理も。品質管理が難しく、県外にはあまり流通しないという「お刺身海苔」のソースをかけた福岡のブランド牛「博多和牛」の前菜。メインの料理は、キッチンに設置された専用の窯で焼き上げるアツアツのピザだ。
たっぷりとのせたタケノコとアスパラガスはもちろん地元の旬の食材だが、こだわりはそれだけでなく、筑後平野で作られる小麦粉を使用。スイーツを含む全5品の料理を味わいながら、およそ2時間半かけて巡るゆったりとした列車の旅だ(『地域を味わうランチの旅─CHIKUGO LUNCH COURSE─』1人8640円)。
乗客「地元の食材が食べられるというので、いい機会だと思って」
県の食材を知ってもらうきっかけにしたいとしている。
◆新潟では2階建てバスで…
レストランさながらの本格的な料理を味わえる乗り物は、新潟県にもあった。先月から運行を開始した2階建ての大型バスは、開放感あふれる2階席で地元の食材を使った料理をいただくことができる。
この日は、地元の旅行代理店など関係者がツアーの視察のために参加した。駅を発車したバスは、まずはおよそ250年の歴史を持つという市内の「今代司酒造」へ。“米どころ”新潟で昔から変わらぬ日本酒のつくり方を学び、無料の試飲を楽しんでバスへと戻ると、地元の野菜や名産の塩引き鮭など海の幸を使った5種類の前菜が用意されている。料理と一緒に楽しむお酒は、先ほど訪ねた酒蔵でつくられた日本酒だ。
今回のツアーのコンセプトは、米にゆかりがある場所を訪ねて新潟県の米作りの歴史を学び、新潟県が誇るコシヒカリの玄米に肉や魚介類などでとったスープを染みこませたリゾットなど、こだわりの米料理を楽しむこと。目と舌の両方で“米どころ”新潟を満喫するバスツアーとして企画された。
さらに、参加者が見学にでかけている間に1階の厨房(ちゅうぼう)でシェフが直前まで調理をし、温かいまま料理を出すこだわりも。地元の食材を使った料理を味わいながら巡るこのバスツアー(『レストランバス2019』えちご平野コース、1人1万5120円 ※6月まで運行、コースによりツアー内容・料金は異なります)。市とも連携し、新潟を盛り上げるきっかけにしたいとしている。
◆愛知では、船で貴重な食体験
愛知県では、貴重な食体験ができる船が話題になっている。10連休のゴールデンウイーク、大勢の人でにぎわっている。一見するとどこにでもありそうな釣り船だが、なんと船内で釣ったばかりの魚を焼いて食べることができるのだ。
三河湾で旬を迎えているという高級魚「カサゴ」を目当てに、釣り人の表情は真剣そのもの。子どもも一生懸命竿(さお)を動かすが、およそ30分ヒットはなし。そんな中、釣り初体験のevery.スタッフにビギナーズラックが!
釣り竿の扱い方などを初心者にもわかりやすく教えてくれるため、続々とカサゴが釣り上げられる。中には、大物を釣り上げる男の子も。
そして、いよいよお待ちかねの時間が…。自分で釣った魚を焼いて食べる船上バーベキューの開催だ。豪快に焼くカサゴの塩焼きのお味は──
海釣り“初体験”の小学5年生「ダントツで一番です」
家族連れにも気軽に海釣りを楽しんでほしいと地元の民宿が始めたこの釣り船(『釣りべキュー(松新丸)』おとな1人9800円、こども1人8800円)。遠方からのお客さんも年々増えているという。