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多様化する“合同のお墓” 広がるワケ

2019年5月10日 19:17
多様化する“合同のお墓” 広がるワケ

いま、他人と埋葬場所を共有する“合同のお墓”が広がっている。さらにお墓参りをする側の事情に合わせたさまざまな形態のものも次々と登場しているが、議論もある。なぜ、利用者が増え続けているのか、取材した。

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東京・港区にあるお寺。案内してもらった先には、およそ2メートルの阿弥陀如来像。これが“お墓”だという。

東京徳純院・今泉崇純住職「こちらが阿弥陀様の胎内納骨になります」

後ろにふたがあり、そこから砕いた遺骨を入れるという。

東京徳純院・今泉崇純住職「1000名さまに近い数の方がお納めいただいている」

家族以外の人と納骨場所を共にする合同のお墓。

東京徳純院・今泉崇純住職「後々の人たちに迷惑のかからない形での埋葬を希望される方が多くいらっしゃいます」

人気が高まり、利用者が増えているという。

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一方、公営墓地として合同のお墓を持つ秋田県。寺院を対象に行った調査では、「墓は納骨できれば良いというものではない。命の重さなどを考える場でなければならない」と、14の寺院が合同のお墓に反対しているという。

ネットでは、賛否の声があがっている。

「選択肢があるのはいい!」「合葬墓は嫌だから墓作る!」「墓の管理できないから仕方ない」

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なぜ今、合同のお墓が、注目されているのだろうか?

お墓について考えているか、街の人に聞いた。

大阪在住・兵庫にお墓がある人「(お墓が)近くにあると、もうちょっと行きたいなとは思う」

都内在住・千葉にお墓がある人「今まであるお墓は墓じまい。都内に全部持って来ちゃう」

子どもに負担が掛かると、住んでいる都内に、遺骨を移す予定の人もいた。

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都内に墓を移すことは、簡単にできるものだろうか。都内のお寺を訪問した。

蓮紹山瑞光寺・廣橋是颯さん「こちらの区画が永代使用料(土地の値段)90万円になります」

Q.大きさはどれくらい?

蓮紹山瑞光寺・廣橋是颯さん「0.36平方メートルになります」

見せてもらった墓地区画は、土地代で90万円。墓石と合わせると、墓を持つのに220万円以上かかるという。

東京都によると、都営の霊園では1平方メートルあたりの土地代が、およそ86万円から276万円。さらに、年間管理費もかかり、住居期間など、応募条件もある。

一方で、先ほどの合同のお墓にかかる費用は3万5000円のみ。管理費がかからない所も多く、合同のお墓の需要は高まっている。

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秋津ふれあいパーク・山下信寿所長「季節のお花を咲かせるというのが霊園のコンセプトになっています」

埼玉・所沢市にある合同のお墓。「公園」というコンセプトのもと、ヨーロッパのガーデニングを取り入れ、なんと、500種類以上のバラが咲き誇る霊園だ。

墓参りをする人には明るい気分で、近所の人には、散歩コースとして立ち寄ってほしいと作られた。

秋津ふれあいパーク・山下信寿所長「現在35名ほどの方が、こちらにご埋葬されていまして」

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従来のお墓と違って、墓標がないのが特徴の合同のお墓。

そこで、「技術」を活用した所も登場した。

浦安市環境衛生課・槇伸一課長「こちらがタブレットになります。向かって左手の奥にご遺骨が埋蔵されているということで赤く示してあります」

貸し出されるのは、遺骨の埋葬場所を示すタブレット。

Q.この赤く記したエリアが?

担当者「この大きい木の奧辺りになります」

現在、450体の遺骨が埋葬されている千葉・浦安市の合同のお墓。墓参りする人たちに、埋葬場所を的確に伝えられればと、タブレットの活用を決めたという。

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社会の変化とともに合同のお墓は多様化している。