経済効果50億円も…ご当地グルメ悩みとは
すっかりおなじみとなった“ご当地グルメ”。地方の特産品を生かした新商品が続々と登場する一方、ご当地グルメを盛り上げてきた団体の中には問題を抱えているところもあるという。一体、ご当地グルメに今、何が起きているのだろうか――
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埼玉県熊谷市で26日に行われた、ご当地グルメの祭典「熊谷うまいもんカップ2019」。“安くて、うまい”がウリの地元グルメが勢ぞろいしたことで、炎天下にもかかわらず行列ができていた。
熊谷市観光協会・金子克彦さん「イベントで知ってもらった市内の店にまた行っていただくことで、市内の経済が活性化すればいいなと」
今年で9回目となる熊谷の食の祭典には、1日で5万人もの人が訪れたという。
多くの人が来ることで地域の活性化にもつながる、ご当地グルメ。2006年からは「B-1グランプリ」が開催されるなど、ご当地グルメは人気で、経済評論家・平野和之氏によると、グランプリに選ばれた地域にもたらされる経済効果は年間50億円にも上るとされている。
こうした中、地域を盛り上げようと、今年から新たなご当地グルメを開発したところもある。
酪農が盛んで、乳製品が特産品だという静岡県函南町。この乳製品と地元の野菜を生かせる「カルボナーラ」をご当地グルメとして、今年3月から売り出した。
函南町産業振興課・鈴木夏実さん「お子さんから大人の方まで人気なカルボナーラに着目し、プロジェクトを立ち上げました」
レストラン「グリーングリル キセツ」で提供しているのは、地元で採れた完熟トマトなどを使ったカルボナーラ。トマトの甘みや酸味が、濃厚なカルボナーラを爽やかにするという。また、レストラン「Kiya」では、地元の牛乳と郷土料理の煮物を合わせることで和風テイストの“カルボナーラつけ麺”に仕上げたという。
現在、8店舗でオリジナルのカルボナーラを提供。函南町では今後も参加店舗を増やしていく予定だという。
新たなご当地グルメが誕生する一方で、頭を悩ませている地域もあった。
福岡県北九州市の小倉では、「焼うどん」を町おこしのご当地グルメとして売り出している。実は、小倉の食堂街にある「だるま堂」が焼うどんの発祥とされている。
小倉焼うどん研究所・竹中康二所長「戦後まもなく店主が焼きそばを作ろうと思った時にお店に中華麺がなくて、うどんを湯がいて鉄板でいためて出したところ人気が出たと」
そして、約20年前には焼うどんを地域の活性化につなげようと、「小倉焼うどん研究所」が設立され、2012年にはB-1グランプリの北九州市開催にもつながったという。
しかし、最近は小倉焼うどん研究所のメンバーが高齢化してきているという。
小倉焼うどん研究所・竹中康二所長「40代、50代のメンバーが中心になってきて、20代、30代というのが少なくなっている状況です」
そのため、今月初めからは「所長」を大募集。「若い世代に所長になってもらい、盛り上げてもらいたい」との考えだが、この1か月で問い合わせは3件しか来ていないという。
小倉焼うどん研究所・竹中康二所長「この街をおもしろくしたいというバイタリティーのある20代、30代の方に、この楽しい活動に関わっていただきたい」
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全国各地で楽しめる、ご当地グルメ。どのようにして世の中に広めていくかが、今後の“カギ”となりそうだ。