危険で稼げない?新たな漁師どう確保する?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「新たな漁師、どう確保?」。釣りアンバサダー兼「ツッテ」編集長の中川めぐみさんに聞いた。
水産白書によると、満15歳以上で過去1年間に海上で30日以上作業した「漁業就業者」の総数は、2003年時点で23.8万人だったのに対し、2017年は15.3万人。一貫して減少傾向にある。白書では、潜在的にいる「意欲ある担い手」を確保し、育成していくことが、漁業や地域の活性化の観点から重要としている。
――フリップをお願いします。
『推し漁師!!』と書きました。そもそも漁師の担い手というハードルで言うと、日本人が魚離れしているとか、漁獲量が減っているとか、いろんな問題あると思います。それと同時に漁師さんへのイメージが良くならないというのがあるかと思っています。
――漁師さんは、それを良くしていこうとか、広めたりとかしているんでしょうか。
はい、一部の方々ではあるんですが、やはり全体では危険、汚い、稼げないと、外でも中でも思われている部分があります。全国の港に行きますが、漁師さんが自分の息子に「継がないでくれ」と言うところも見てきて、それがすごく残念だなと思っています。
――過酷だからですね…。その中で「推し漁師」とはどういうことでしょう。
まさにアイドルの「推しメン」みたいな形なんですが、そのイケてるのは顔だけではなくて、むしろ内面の部分で、3Kに対して、新3Kというのがありますが、「かっこよくて」「稼げて」「革新的」というところで、全国に面白い取り組みをしている人がどんどん増えているので、まさにアイドルを推すように、企業が漁師を推すという文化がつくれないかなと考えています。
――フリップには絵もありますね、気になるんですが。
これは私が描いた牡蠣(かき)です(笑)。これは陸前高田にすごくイケてる漁師さんがいるんです。牡蠣って冬のイメージがあるんですが、実は春のほうが大きくなるし、おいしいというところで、「雪解け牡蠣」という牡蠣を新しくブランディングして進めているんです。
そうすることで新しい販路や、魚価が上がるという部分で取り組んでいて、こういう漁師さんと企業をつなげることで、ただのスポンサードではなくて、商品開発や販路の開拓、もしかすると社会貢献も一緒にやれるんじゃないかというところでつながりをもってほしいと思っています。
――将来的にはこういう漁師さんたちが活躍できるようになるといいですか、見た目的にも。
見た目にもできればそういう企業と一緒に活動をすると共に、例えばアスリートだと胸の部分に企業ロゴが入ったりするじゃないですか。そういうものをどんどん広めていって、近所の子どもが「何あの漁師、あそこに日テレってのってるぞ」みたいな――そういう風になると、漁師さんへのイメージが変わったり、可能性の広がりを感じて、就業者が増えたりするんじゃないかと思います。
――確かに船に積んできて、何トン、何十トン…かっこいいですし、そして日々戦いですから、アスリートのようにも見えますしね。
はい、本当にそうなんですよ。
■中川めぐみさんプロフィル
釣りからはじまる様々な体験情報を届けるウェブメディア「ツッテ」を運営。中川さんはGREEに在職時、ゲーム以外の新規事業を考える部署に配属。大ヒットゲーム「釣り★スタ」から連想して、釣りを地域振興事業に生かせないかと考え、市場調査をしているうちに、釣りにはまったという。電通、ビズリーチを経てついには2018年「釣りアンバサダー」として独立。釣りを通して「地域の魅力」を届けている。
【the SOCIAL opinionsより】