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5段階“大雨警戒レベル”導入の背景と課題

2019年7月12日 15:38
5段階“大雨警戒レベル”導入の背景と課題

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「5段階“大雨警戒レベル”導入の背景と課題」。日本テレビ社会部の牧尾太知記者に話を聞いた。

去年7月の西日本豪雨では、広島の土砂災害や岡山の真備で起きた洪水などによって、200人以上が亡くなった。それほど大きな被害を出した豪雨だったにもかかわらず、「避難勧告」「避難指示」に従い、避難所へ避難した人は1%未満だった。


――牧尾さん、なぜ、多くの人が避難をしなかったのでしょうか。

はい、その理由の1つといわれているのがこちらです。

(フリップを出す)

これは当時、西日本豪雨の被災地に出されていた防災情報です。これをみて杉野さん、いかがですか?


――たくさん情報がありますね。でも、氾濫発生情報、氾濫危険情報、氾濫警戒情報とあって、どれが一番危険度が高いのかわかりにくいです。危険が迫っているなかでどう判断すればいいのか難しいですね。

私も災害担当の記者になるまでは、このすべての情報の意味がわかりませんでした。現地の方々も、これらすべての情報の意味を理解するのは難しかったと思います。そのため避難行動をとらなかったということが考えられます。そこで今年から導入されたのが「大雨警戒レベル」です。


――色々あった防災情報が、5つのレベルに整理されたということでしょうか?

そうですね。5段階のうち、一番上のレベル5が最も危険で、すでに「災害が発生」していて「命の危険」があるような状況を意味しています。


――では、今回の警戒レベル導入にあたって、一番のポイントはどこになるのでしょうか?

災害が発生しているレベル5の前の「レベル4で逃げる!」ということです。

自治体が「避難指示」や「避難勧告」を出すのはレベル4です。このうちに、危険なエリアに住んでいる人は全員避難するというのが大切です。


――西日本豪雨の時にも出された「大雨特別警報」は、レベル5にあたるのですね。

西日本豪雨の時にも、大雨特別警報が出されましたが、警報が出されたときには道路がすでに冠水していたり、道が土砂でふさがれていて避難できず、亡くなった方も多くいました。

ですので、大切なのはレベル5にあたる「大雨特別警報」の発表を待つことなく「レベル4で逃げる!」ということです。


――でも、レベル4は「全員避難」とありますが、本当に全員避難したら避難所に入りきれるものなのですか。

実際に先週、九州南部で記録的な大雨が降ったときに、鹿児島市は市の全域59万人に避難指示を出しました。しかし避難所に入りきれない人が出たり、車の渋滞が起きてしまいました。


――そうなりますと、市の全域に避難指示を出されたら、どこに逃げればいいのか心配になりますよね。

今回、鹿児島市が市の全域、59万人にレベル4の避難指示を出しました。これにより市民の1人1人に危機感を伝えるという意味では良かったかもしれません。しかし、そもそも市内の全域で避難が必要だったかというと、決してそうではないのです。


――それはどういうことですか?

(モニターに地図が映し出される)

こちらは、Yahoo!がインターネットで公開しているハザードマップや気象庁の危険度分布をもとに作成した鹿児島の地図になります。

色がついているのは、土砂災害に警戒が必要なエリアで、実際に避難が必要なのは、基本的にはこの色がついたエリアに住む人だけになります。


――見てみますと、鹿児島駅の周りはあまり色がついていませんね。

そうですね。ですので鹿児島駅周辺で色が付いていないところはすぐに避難が必要ではないということになります。


――そういう意味で避難の優先度合いが変わってくるということですか。

そうですね。ですから、自治体も市内全域にざっくりとした避難情報を出すのではなく、土砂災害や川の氾濫に警戒する必要があるエリアにある程度、限定して避難情報を出していく必要があると思います。

私たち住民も、こういったツールを活用しつつ、私たちの家や職場がそもそも危険な地域なのかを、事前に把握しておく必要があると思います。

そのうえで、避難勧告、避難指示が出されたときに自分の地域が危険であれば避難する必要があると思います。

【the SOCIAL opinionsより】

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