「近所付き合いしていない」若者増える
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「近所付き合いしていますか?」。神戸で介護付き高齢者住宅「はっぴーの家ろっけん」を運営する首藤義敬氏に聞いた。
地域での付き合いをどの程度しているかについて、内閣府が世論調査を行った。「よく付き合っている」「ある程度付き合っている」の合計が66.9%だったのに対し、「あまり付き合っていない」「全く付き合っていない」の合計は33.0%だった。
「付き合っていない」とする割合は徐々に増えており、18歳から29歳では、65.2%となっている。
ネット上ではこんな意見が見られた。
「引っ越しのあいさつに行き、結構ですと言われた」
「田舎の近所付き合い、大変そう」
「日本は災害も多いから、近所付き合いは大事」
――この話題について首藤さんの意見をフリップに書いていただきました。
「日常の登場人物を増やす」です。
僕も以前、マンションで暮らしていたときは、先ほどの若者のように近所づきあいが嫌でした。でも最近は、自分の子どもに色々な人に会ってほしいというのがあって、年間で200人の大人に会わそうというところから「はっぴーの家」というのは始まったんです。それがいま、週に200人になってしまいました。
でも気づいたのは僕たち若者にとっても登場人物が増えるというのはすごくいいなと。おじいちゃん、おばあちゃんにとっても人と会うことというのはすごくいいことだと気づきました。
近所付き合いというより、日常を楽しめる仲間が増えたらいいなという感じで人を増やしていってる感じです。
そのなかで、最近感じているのは“防災”です。「はっぴーの家」があるのは神戸市長田区で震災の被害があったところです。やはり非常時に、普段のつながりで命が救われる人をたくさん見てきました。やはり日常的にコミュニティーがあることで、何か災害があったときに助け合えるということが実際に起きてきているんです。
――ネット上の意見でも日本は災害が多いから近所づきあいは大事というのがありました。
最近であれば、特別警報が去年、出まして、あのときスタッフが出勤できなくなったときも近所の人たちが、避難という名目で逃げてきて、一緒におじいちゃん、おばあちゃんのケアを2日間するということがありました。まさに日常のご近所付き合いのお陰だなと感じました。
――「はっぴーの家」のみなさんは全員が近所付き合いをしているのですか。
全員ではないですが、この空気好きだよねという人たちが集まっています。強制はしていないけど、そういう場所が増えるといいですよね。街の中で、私はこういう場所が好きだなというのが増えていけば自然と増えていくんじゃないかなと思っています。
――首藤さんもかつてそうだったように、私も都心にいますので、なかなか近所付き合いって難しい、でも持ちたいという人はどうしたらいいでしょうか。
近所付き合いを探すよりは、まずは街の中で自分と同じ考えを持っている人っていないかなと探すといいかもしれないです。
――関東から神戸にある「はっぴーの家」に行かれている方もいるとお聞きしましたが…
そうなんです。月に1回、そういう空気に触れてほしいということで子どもと一緒に来たりとか、そういうのも増えていますね。
■首藤義敬氏プロフィル
首藤氏が運営する介護付き高齢者住宅「はっぴーの家ろっけん」は、2階から6階が高齢者が住むための個室。1階は出入り自由のリビング兼フリースペースになっている。暮らしているのは20人ほどだが、地域の人や近くの小学生など週に200人ほどが訪れる。時には口コミで外国人観光客が訪れることもある。子どもの頃から多様な人と一緒に暮らしていた首藤氏。遊休不動産の活用や空き家再生事業をする中で、多世代で暮らすことが少子高齢化問題を解決する方法の1つと感じ「はっぴーの家」を立ち上げた。自身も一緒に暮らしながら、新しいライフスタイルを提案している。
【the SOCIAL opinionsより】