マルキの闇 兵庫県警連続自殺の真相は…
2015年秋、兵庫県警機動隊の若き警察官2人が相次いで自殺した。なぜ自ら死を選んだのか。真相を求めて遺族は裁判に訴えた。機動隊内部で何があったのか。黒塗りの調査報告書には、いったい何が隠されているのか。判決は6月22日に下される。
兵庫県警連続自殺の闇…2人の青年は相次いで自らの命を絶った。
山本巡査の母
「いっぱい泣いて泣いて、悩んで悩んで、最後は自分で腹をくくった、そんな(最後の)表情をしっかり覚えています」
2人は兵庫県警の機動隊、 通称「マルキ」に所属。そして、2人とも、警察内部のいじめやパワハラを示唆する、遺書を残していました。
山本翔巡査
「いくで消すで」
山本翔巡査は刑事になる夢をかなえることなく、自ら命を絶ちました。
山本巡査の婚約者
「絶対したらあかん、『絶対連絡するから待っててな』って言うたら、『うん待ってる』って言ったのが最後でしたね」
そのわずか1週間後、同じ機動隊の木戸大地巡査も独身寮で、自殺。
木戸巡査の遺書「父さん、母さん、先にいくことを許して下さい」
息子はなぜ、死を選んだのか…。
木戸巡査の父・一仁さん
「自分がおかれている悩みを誰にも言えなかった。その悔しさ、つらさ。それをわかってやれなかった親、自分たちがとてもみじめです。だからごめんなって。もうそれしか言う言葉がありませんでした」
遺族は、警察組織を相手に立ち上がりました。小学校では、児童会長を務め活発だった息子。
母・久美子さん
「優しかったですよ。ひょうきんで」
小学生当時の木戸巡査
「負けても勝っても楽しい運動会。声が小さいのでもう一回やります」
警察官になるという夢をかなえた青年は、交番勤務を経て、機動隊に配属されました。婚約者と4人での旅行では、「両親のような夫婦になりたい」そう、話してくれました。
しかし、その3週間後…。
木戸巡査の父
「何が大地を自殺に追い込んだのが、真相をまず知りたい」
遺書には"A隊員"へ宛てた内容が、乱れた文字で記されていました。
遺書「あなたの思い描いた通りになってよかったですね」
木戸巡査は、先輩であるA隊員から、指導を受ける立場にありました。A隊員は、書類の書き方について木戸巡査を度々、厳しく叱責していました。A隊員は葬儀に参列せず、遺族の前に一度も姿を見せていませんでした。
記者
「あの、機動隊の中で何があったんですか?パワハラはなかったんですか?木戸巡査の自殺についてどうお考えですか?」
息子の死から1か月が過ぎたころ、同僚を名乗る匿名の人物から、一本の電話が。「警察内部に自殺へ追い込んだ人間がいる」という内容でした。わずかな情報でも得たい。
同僚たちに連絡をとりましたが…
父
「かん口令敷かれてる?」
機動隊員の同僚
「はい」
父
「悩んでいることはあった?それも言っちゃいけないとなってる?」
機動隊の同僚
「そうですね」
父
「木戸大地の父親の木戸と言いますけれど。もしもし…」
父は、広島から機動隊の寮に何度も足を運び、A隊員との面会を求めてきました。
父
「できたらAと話したいですよ」
機動隊幹部
「きょうはおりません」
父
「どうしてですか?」
機動隊幹部
「体調不良で休んでおります」
裁判で真相を明らかにするためには、息子の死に結びつく決定的な証拠が必要でした。
しかし、警察から最終的に届いた報告書は、真っ黒に塗りつぶされていました。
父
「あ然としたのが正直な気持ち」
その後も、兵庫県警に情報の開示を求め続けるも、遺族の手元に届くのは、黒塗りの文書ばかり。
自殺から1年8か月。父は、黒塗りされた調査報告書について警察の幹部に直接問いただす機会を得ました。
父
「ともかく、情報を公開してください。わかります?この悔しさ。1週間のうち2人も現役の機動隊員が 亡くなっている」
兵庫県警幹部
「我々としても組織で動いてる。決まりで動いている。決まりをないがしろにしろということですか?お父さんが言う通りにしたら規則を破る、 要は犯罪を犯すしかないんです」
警察が黒く塗りつぶした真相を法廷で明らかにしたい。木戸巡査の両親は、裁判に踏み切ることにしました。
一方、兵庫県警は、「自殺と(A隊員の)指導に因果関係はない」として、全面的に争う姿勢を示しました。
父
「一番は、やはり息子の無念を晴らしたい。そして、非があるのであれば、ちゃんと償っていただきたい。これが最大の私の気持ちです」
沈黙を貫いてきたA隊員が、証人尋問で初めて姿を見せました。
A隊員
「その時の感情は分からない」
正面から答えることも、パワハラを認めることもなく、裁判所を後にしたA隊員。
息子の死から7年、6月22日に判決の日を迎えます。マルキの闇、兵庫県警連続自殺の真相は…。
*2018年7月1日放送NNNドキュメント『マルキの闇 兵庫県警連続自殺の真相は…』(読売テレビ制作)を再編集しました
兵庫県警連続自殺の闇…2人の青年は相次いで自らの命を絶った。
山本巡査の母
「いっぱい泣いて泣いて、悩んで悩んで、最後は自分で腹をくくった、そんな(最後の)表情をしっかり覚えています」
2人は兵庫県警の機動隊、 通称「マルキ」に所属。そして、2人とも、警察内部のいじめやパワハラを示唆する、遺書を残していました。
山本翔巡査
「いくで消すで」
山本翔巡査は刑事になる夢をかなえることなく、自ら命を絶ちました。
山本巡査の婚約者
「絶対したらあかん、『絶対連絡するから待っててな』って言うたら、『うん待ってる』って言ったのが最後でしたね」
そのわずか1週間後、同じ機動隊の木戸大地巡査も独身寮で、自殺。
木戸巡査の遺書「父さん、母さん、先にいくことを許して下さい」
息子はなぜ、死を選んだのか…。
木戸巡査の父・一仁さん
「自分がおかれている悩みを誰にも言えなかった。その悔しさ、つらさ。それをわかってやれなかった親、自分たちがとてもみじめです。だからごめんなって。もうそれしか言う言葉がありませんでした」
遺族は、警察組織を相手に立ち上がりました。小学校では、児童会長を務め活発だった息子。
母・久美子さん
「優しかったですよ。ひょうきんで」
小学生当時の木戸巡査
「負けても勝っても楽しい運動会。声が小さいのでもう一回やります」
警察官になるという夢をかなえた青年は、交番勤務を経て、機動隊に配属されました。婚約者と4人での旅行では、「両親のような夫婦になりたい」そう、話してくれました。
しかし、その3週間後…。
木戸巡査の父
「何が大地を自殺に追い込んだのが、真相をまず知りたい」
遺書には"A隊員"へ宛てた内容が、乱れた文字で記されていました。
遺書「あなたの思い描いた通りになってよかったですね」
木戸巡査は、先輩であるA隊員から、指導を受ける立場にありました。A隊員は、書類の書き方について木戸巡査を度々、厳しく叱責していました。A隊員は葬儀に参列せず、遺族の前に一度も姿を見せていませんでした。
記者
「あの、機動隊の中で何があったんですか?パワハラはなかったんですか?木戸巡査の自殺についてどうお考えですか?」
息子の死から1か月が過ぎたころ、同僚を名乗る匿名の人物から、一本の電話が。「警察内部に自殺へ追い込んだ人間がいる」という内容でした。わずかな情報でも得たい。
同僚たちに連絡をとりましたが…
父
「かん口令敷かれてる?」
機動隊員の同僚
「はい」
父
「悩んでいることはあった?それも言っちゃいけないとなってる?」
機動隊の同僚
「そうですね」
父
「木戸大地の父親の木戸と言いますけれど。もしもし…」
父は、広島から機動隊の寮に何度も足を運び、A隊員との面会を求めてきました。
父
「できたらAと話したいですよ」
機動隊幹部
「きょうはおりません」
父
「どうしてですか?」
機動隊幹部
「体調不良で休んでおります」
裁判で真相を明らかにするためには、息子の死に結びつく決定的な証拠が必要でした。
しかし、警察から最終的に届いた報告書は、真っ黒に塗りつぶされていました。
父
「あ然としたのが正直な気持ち」
その後も、兵庫県警に情報の開示を求め続けるも、遺族の手元に届くのは、黒塗りの文書ばかり。
自殺から1年8か月。父は、黒塗りされた調査報告書について警察の幹部に直接問いただす機会を得ました。
父
「ともかく、情報を公開してください。わかります?この悔しさ。1週間のうち2人も現役の機動隊員が 亡くなっている」
兵庫県警幹部
「我々としても組織で動いてる。決まりで動いている。決まりをないがしろにしろということですか?お父さんが言う通りにしたら規則を破る、 要は犯罪を犯すしかないんです」
警察が黒く塗りつぶした真相を法廷で明らかにしたい。木戸巡査の両親は、裁判に踏み切ることにしました。
一方、兵庫県警は、「自殺と(A隊員の)指導に因果関係はない」として、全面的に争う姿勢を示しました。
父
「一番は、やはり息子の無念を晴らしたい。そして、非があるのであれば、ちゃんと償っていただきたい。これが最大の私の気持ちです」
沈黙を貫いてきたA隊員が、証人尋問で初めて姿を見せました。
A隊員
「その時の感情は分からない」
正面から答えることも、パワハラを認めることもなく、裁判所を後にしたA隊員。
息子の死から7年、6月22日に判決の日を迎えます。マルキの闇、兵庫県警連続自殺の真相は…。
*2018年7月1日放送NNNドキュメント『マルキの闇 兵庫県警連続自殺の真相は…』(読売テレビ制作)を再編集しました