観光地でクマ目撃…紅葉シーズンの対策は? 野生動物による農作物被害も…“ジビエ料理”で観光資源に 長野
長野県長野市の戸隠では、この季節、木々が赤や黄色に色づき始めています。ただこうした豊かな自然と切っても切り離せないのが、野生動物による被害です。特に今年は長野県内で初めてツキノワグマ出没警報が発表される事態となりました。これから紅葉シーズンを迎える観光地では、対策が進められていました。現地で森圭介キャスターが取材しました。
森圭介キャスター(18日午前)
「長野県の戸隠神社にやってきました。ここは戸隠神社の奥社の参道入り口です。大鳥居の向こうには紅葉のスギ並木が見えています」
厳かな雰囲気に包まれた長野市の「戸隠神社」。パワースポットとしても知られ、多くの人が参拝に訪れます。しかし、参道の脇には…
森キャスター
「クマ注意の看板がありますね」
クマへの警戒を呼びかける看板が、あちらこちらに。
長野県では今年4月以降、クマが目撃された回数は、去年より200件ほど上回っていて、ヒトが襲われるケースも相次いでいます。
今年8月、カメラが捉えたのは、川を渡ろうとする1頭のクマ。水をものともせず、歩いていきます。そのすぐ近くには多くの人が。撮影された場所は、長野県有数の観光地、松本市の上高地。観光客への被害はありませんでしたが、クマとヒトが“急接近”しています。
そこで先月。県内で初となる「ツキノワグマ出没警報」が発出されました(長野県内5つの地域・来月14日まで延長)。
長野市の戸隠でも、キャンプ場スタッフが対策を行っています。
──こちらのキャンプ場でのクマ対策は?
戸隠キャンプ場・営業副支配人 武井智史さん
「においが出るものとか、ゴミをしっかり密閉して管理する対策を重点的にしている。あとは爆竹を夕方に鳴らして…」
決まって夕方に使うのが、爆竹です。こうすることでクマとヒトが暮らすエリアに境界線をつくれるといいます。
戸隠キャンプ場・営業副支配人 武井智史さん
「(動物に)悪影響を与えないように、なるべく寄り添いながら運営したい」
野生動物との共存が重要だということです。ただ、県内ではシカやイノシシなどの野生動物が農作物を荒らす被害もあとを絶たず、昨年度、その被害額は農林業合わせて約7億9100万円。やむを得ず捕獲した動物を、観光資源にしていこうという動きが出ています。
その1つが「ジビエ料理」です。
awai戸隠 藤元裕希シェフ
「(長野県)高山村でとれた、シカ肉のローストになります」
フレンチのシェフが腕をふるう、県内でとれたシカ肉を使ったロースト。ディナーコースのメーンディッシュです。
森キャスター
「信じられないほど柔らかい」
その味は…?
森キャスター
「あ! ものすごく力強い味がしていて、お肉のうまみが詰まっているんですけど、クセがあるイメージもたれる方がいますが、全くそんなことないですね」
ジビエ料理を提供しているのは、「戸隠神社中社」近くにある宿泊施設を備えたレストラン。使われていなかった公民館をリノベーションし、去年4月にオープンしました。
awai戸隠 藤元裕希シェフ
「自然のものをまず食べて、おいしいと思ってもらえたら、すごく戸隠に来てくれた意味があるかなと思って」
ジビエ料理は広がりをみせていて、長野市内の小中学校で提供されているのはジビエを使った給食です。
さらに冬のシーズン、スキーを楽しんだあとは、“ゲレンデメシ”としてシカ肉のバーガーも登場。ソバと並ぶ名物となる日も、そう遠くないかもしれません。