原発避難者訴訟“国の責任認めず” 最高裁初判断に原告は「認めてくれるとばかり…」
福島第一原発の事故で避難を余儀なくされた住民らが国への損害賠償を求めた集団訴訟で、最高裁は17日、国に責任はなかったとする初めての判決を言い渡しました。判決にふるさとを追われたという原告は…。
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ふるさとを奪った福島第一原発事故の責任は、国にあるのか…。全国各地に避難した住民ら約3700人が国に損害賠償を求めた集団訴訟で、17日、最高裁は「国に責任はなかった初めての初めての判決を言い渡しました。
集団訴訟の原告 深谷敬子さん(77)
「苦労してやったのに…なんで…」
原告の深谷敬子さんも、原発事故でふるさとを追われ、今も避難生活を続ける1人です。
先月29日、記者が未だ住民の帰還が許されていない福島県の「帰還困難区域」へ入りました。許可を得て、富岡町にある深谷さんの自宅に入ると、物が散乱したままになっていました。深谷さんが一時帰宅した時には、夫の仏壇がずらされているなど泥棒に入られたような形跡もありました。
集団訴訟の原告 深谷敬子さん(77)
「わーわー泣きました、私。ここで老後死ぬまで暮らすつもりだったのが、なんでこんな狂っちゃったんだろうって」
原発事故から11年、これまでに4つの集団訴訟で東京電力の責任と14億円あまりの賠償額が確定しています。ただ、「国の責任」については判断がわかれ、最高裁で争うことになっていました。
争点は、2002年に政府が出した地震予測を踏まえ、「国が巨大津波を予見でき、東電に対策をとらせていれば事故を防げたかどうか」ということです。17日、最高裁が言い渡したのは「国に責任はなかった」とする判決でした。
最高裁は当時の地震や津波について、「想定よりも規模が大きかった」と指摘した上で、「仮に国が事故を防ぐために、東電に適切な措置をとらせたとしても、事故が発生していた可能性が高い」と結論づけました。
判決後、深谷さんは「悔しいね。悔しい。一生懸命やったのに(国の責任を)認めなかったんだ。認めてくれるとばっかり思ってた」と落胆していました。
17日の判決は、全国で行われている約30件の同様の裁判についても影響を及ぼすとみられます。
(6月17日放送『news zero』より)