深刻な“食料廃棄”どう減らす?
世の中で議論を呼んでいる話題についてゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「食料廃棄をどう減らす?」。特殊急速冷凍技術でフードロスの解消を目指すデイブレイク代表・木下昌之氏に聞く。
農林水産省の発表によると、2018年度の日本の食料自給率は、カロリーベースで過去最低の37%となった。一方、日本における食料の廃棄量は、年間1561万トン。そのうち、いわゆる「食品ロス」が643万トンにも及んでいる。
――食料の大半を輸入に頼っているにもかかわらず、大量の食料を廃棄している日本の現状。木下さんいかがでしょう、キーワードをお願いします。
『値崩れによるロス』と書きました。みなさん、やはり家庭から出るロスや、業者からだと恵方巻きなどがニュースなどで特集されると思いますが、実際に一番多く出ているのは生産地かと思います。旬の時期に豊作すぎると下落します。ある一定の量を超すと、市場がそれを受け入れてくれなかったり、単価が安くなるため、生産者が出すということをやめてしまうようなことがあるので、生産地ではこのロスというのが大量に出ています。
――それを急速冷凍技術によって、その悪くなってしまうのをとめると。
そうですね、私が扱っている急速冷凍機であれば、ほぼ元に復元するような技術になりますので、生産者とか加工会社さんで導入を進めています。
――鮮度というと魚というイメージがありますが。
そうですね、一般の冷凍だと細胞膜をどうしても破いてしまうので、ドリップと言われるうま味成分が抜け出てしまうんですけど、我々が扱う特殊冷凍機であれば、半年たっても、ほぼ生に復元できるような技術になりますので、価格の変動に備えるとかに対応できます。
――一方で、今やられている分野というのはフルーツが多いそうですね。
そうですね。やはり事業者から出るロスで多いのは、野菜・果物が過半数を占めています。その中で私たちは、フローズンフルーツをやっているんですが、これは生産地で一番おいしい状態のものは、流通に乗せると、みなさんの口に届くまでに風味や味が落ちますよね。そういったものを私たちの特殊冷凍技術で、現地でフローズンにするということをやっています。
――一部が台風による影響などで傷ついてしまいますが、カットフルーツですと…
そうですね。我々の所では、傷がついても多少カットして使うことができるので、多少の傷などは全然引き受けられます。
――そうすると廃棄量も今後変わっていきそうですか。
そうですね、私のところでは、フルーツが100万トンが出るんですが、1万トンのロスをなくしたいなと思っています。
■木下昌之氏プロフィル
デイブレイク代表。70年続く老舗冷凍会社の3代目を継がず、2013年、特殊冷凍技術の専門会社を立ち上げ、独立。5種類の冷凍技術で食品ごとに適した冷凍環境を提案。食材の味と鮮度を最良の状態に保つ。また、これまで培ってきた冷凍ノウハウをいかして、フードロス解決のため、フローズンフルーツ事業を展開。特殊急速冷凍技術でフードロスの解消を目指している。
【the SOCIAL opinionsより】