新潟でも「液状化」 監視カメラにその瞬間 今も止まらず…ホテルの決断
能登半島地震では、「液状化現象」の被害も深刻になっています。その被害が発生した新潟からお伝えします。
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新潟県内では、新潟市西区が液状化現象による被害を最も大きく受けました。1日に訪れたのは、新潟市の繁華街から車で20分、その西区にあるビジネスホテル「ホテル寺尾」。地震による液状化の影響で建物は傾き壁には亀裂が残されたままです。
本来は建設業などで長期滞在する人がよく利用するホテルです。今は被害が少ない場所、規模を縮小して営業を続けています。
ホテルの人によると、今でも液状化が続いているということです。台所の洗い場の奥に1~2cmのすき間ができています。地震の直後にはすき間があいていなかったということです。ところが、日に日に液状化が進み、今では指が入るほどになったといいます。
今も現在進行形で液状化、地盤の変化が進んでいるとしたら本当に怖いとホテルの人は話していました。
そして、その液状化の瞬間をホテルの監視カメラがとらえていました。
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地震の瞬間、歩道橋や電線が大きく揺れ動きます。駐車場では地面の一部が盛り上がり、亀裂が入りました。
しばらくすると、あふれてきたのは水。地面から徐々に染み出し道路はあっという間に泥水に浸りました。地震の揺れがもたらした地盤の液状化です。
でこぼこになった床に開かなくなったドア。ホテルも大きな被害を受け、「営業を続けることは難しいかもしれない…」という思いがよぎったといいます。
ホテル寺尾 勝島猛社長
「困っちゃいましたね。予想だにしていなかったので」
その後、断水は解消され建物も徐々に修復。地盤の改良など課題は残りますが、経営を続けようと決断しました。
勝島社長
「前向きに動き始めた1か月。決断するのにかかった1か月ですね」
母・テル子さん
「頑張るしかないね」
勝島社長
「頑張るしかないね」
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新潟市では地震による被害の程度を示す「り災証明書」の交付が始まっています。「全壊」から「一部損壊」まで6段階あり、支援の範囲が変わります。
“大規模半壊”の人
「り災証明書もらったのでひと安心」
一方で納得がいかない住民もいました。
“一部損壊”の人
「一番傾いているところを測ってもらえてなかった。もう1回見ていただきたい」
明暗が分かれたところは、ほかにもあります。
応急危険度判定で「危険」と判定された住民などを対象に行われた「市営住宅の抽選会」です。
市営住宅に当選した人
「安心しました」
――自宅の被害は
市営住宅に当選した人
「『危険』の(紙)を貼られてどうしようかと思っていました」
約3割が当選した一方で…
抽選から外れた人
「残念ながら希望が外れたので、また別の手を考えないと」
「また、これから次を探さないといけないのは大変ですね」
地震から1か月、復興へ向け様々な思いが交錯しています。
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新潟県内では、1日午後1時時点で約1万3654棟の住宅で被害があり、このうち9339棟の被害が新潟市で発生しました。まだ調査は続いていて、被害の全容はわかっていません。
日常生活を取り戻すには、まだ時間がかかりそうです。仮に建物の再建が進んだとしても、液状化によって被害があった地盤をどうしていくのかという不安が残ります。
専門家によると、西区には地域一体で地盤改良をしていかなければならない場所が複数あるということです。行政含めて、どのように本当の意味での「安心した暮らし」を取り戻すのか、息の長いサポートが必要となりそうです。