“南海トラフ巨大地震”定例検討会「先月は特段の変化なし」
気象庁は、南海トラフで巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会を開き、先月は、巨大地震に影響を与えるような地震活動はなく、「特段の変化はなかった」とする見解をまとめました。
気象庁は、今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震について、専門家による定例の評価検討会を開き、想定震源域で起きた地震活動や観測データの分析を行いました。
先月1日から今月6日までの間に、南海トラフ巨大地震の想定震源域とその周辺では、マグニチュード3.5以上の地震が4回発生しました。
先月1日には、和歌山県南部を震源とするマグニチュード3.8の地震があったほか、先月2日には、鹿児島県大隅半島東方沖でマグニチュード5.9の地震があり、宮崎県で最大震度5弱の揺れを観測しました。
また、今月3日には、和歌山県南方沖を震源とするマグニチュード3.5の地震が、今月6日には、宮崎県の日向灘でマグニチュード3.8の地震があったということです。
いずれの地震についても、検討会は「特に目立った地震活動ではない」と評価しています。
一方、静岡県御前崎などで長期的に観測されている地盤の沈降は、フィリピン海プレートの沈みこみに伴うもので、その傾向に大きな変化はないとしています。
検討会は、こうした観測結果を総合的に判断し、南海トラフ周辺で「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
しかし、評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は、依然として南海トラフ巨大地震が起きる可能性は高いとして、「いつ地震が起きてもいいように引き続き備えを進めてほしい」と呼びかけています。