【NNNドキュメント】左目失った人も… 街をさまようクマ 人との共生のあり方は NNNセレクション
山から飛び出し、街をさまようクマ。緊急事態にヒトはどう対処するべきか。襲われて左目を失いながらも、ヒグマと向き合い続ける猟師。ヒグマ研究者からクマ専門員に転身した女性は、最前線でツキノワグマ対策にあたっている。ヒトとクマの距離感、共生の姿を考える。
◇◇◇
「いた!」
日本最大級の野生動物「ヒグマ」。 大きい個体で体重は約250キロ。2021年。札幌市の住宅街に、1頭のヒグマが日夜出没。住民を恐怖に陥れた。人を恐れる様子は、全くない。
カメラマン
「クマ! クマがいる! 中入って!」
大きく変わってしまったヒトとクマの距離感。
記者
「人が倒れているのが見えます。クマですか?」
救急隊員
「クマの情報です」
襲われたのは40代の男性。札幌駅から4キロほどの住宅街で、あわせて4人が重軽傷を負った。“慣れない街”に迷い込んだクマが、パニックに陥ったと考えられている。
原田さん
「クマの場合は緊張しますよ」
狩猟歴、50年以上の原田勝男さん。
クマの行動を熟知し、これまでに捕まえた数は100頭を超える。原田さんを駆り立てているのは、24年前の記憶。
2000年。シカ猟のため山に入った原田さんは、突然クマに襲われた。
「おい、大丈夫か?」
「酸素ボンベない?」
原田さん
「鉄砲をとられて、転ばされて、その上にクマがかぶさってきた。そして、かじりだしたんです。ガリガリかじりだして…」
左目の視力は、この時に失った。クマの恐ろしさは、誰よりも知っている。ワナを置くのは、人里と森の境界。
原田さん
「森林と畑の境界に、(ワナを)かけようと」
境界を踏み越えたクマ。山奥に放しても、また戻ってきてしまう。最期は、せめて一瞬で。
相次ぐクマの被害を受けて、対策の強化に乗り出した秋田県。県内には、約4400頭のツキノワグマが生息しているといわれている。
獣医師の免許を持つ、近藤麻実さん。積み重ねた知識と経験を武器に、いま、クマ対策の最前線に立っている。
近藤さん
「すぐ背後にクマがいるみたいなところが、全てのベースにある気がしています。お互いの空間が重なり合っている。隣接どころか、重なり合っているのが今だと思います」
人口減少で人の気配が消えたことで、クマの行動も大胆になっていると近藤さんは考えている。
近藤さん
「ヒトの近くに暮らしているのが、常態化してきていることで、ヒトへの警戒心・距離感がよく分かっていない。警戒心の薄すぎるクマが増えているのかなと思っていて」
調査のために、現場を訪れた。
クマに襲われた男性
「ここに(クマが)いたのよ。開けた途端に目が合ったわけ。クマも俺を見ていた。目と目が合ったんでよ」
体長1.5メートルほどのツキノワグマに襲われた男性。
クマに襲われた男性
「襲われている間は、顔と頭に執着していましたね。執ように頭と顔を攻めてくる感じで。頭蓋骨が10センチくらい開いていましたんで」
車庫の中にあったクマの糞を回収して内容物を調べたところ、ほとんどが「ソバの実」だったことが分かった。
近藤さん
「国が進めていく政策の中に、田んぼを麦にかえる、ソバにかえる、飼料用のトウモロコシにかえる。全部、クマは食べるんですよね」
北海道の猟師・原田さん。弟子の藤嶋さんを連れて向かったのは、鳥獣の魂をまつる石碑。
原田さん
「クマは憎まないです。だけど、身近に来たものについては、自分が捕ってやらなければ、地域の安全は保てないなと」
クマがマチに現れる。まさに、緊急事態。
2024年7月21日放送 NNNドキュメント’24『クマージェンシー~ヒトとクマの距離感~』をダイジェスト版にしました。
◇◇◇
「いた!」
日本最大級の野生動物「ヒグマ」。 大きい個体で体重は約250キロ。2021年。札幌市の住宅街に、1頭のヒグマが日夜出没。住民を恐怖に陥れた。人を恐れる様子は、全くない。
カメラマン
「クマ! クマがいる! 中入って!」
大きく変わってしまったヒトとクマの距離感。
記者
「人が倒れているのが見えます。クマですか?」
救急隊員
「クマの情報です」
襲われたのは40代の男性。札幌駅から4キロほどの住宅街で、あわせて4人が重軽傷を負った。“慣れない街”に迷い込んだクマが、パニックに陥ったと考えられている。
原田さん
「クマの場合は緊張しますよ」
狩猟歴、50年以上の原田勝男さん。
クマの行動を熟知し、これまでに捕まえた数は100頭を超える。原田さんを駆り立てているのは、24年前の記憶。
2000年。シカ猟のため山に入った原田さんは、突然クマに襲われた。
「おい、大丈夫か?」
「酸素ボンベない?」
原田さん
「鉄砲をとられて、転ばされて、その上にクマがかぶさってきた。そして、かじりだしたんです。ガリガリかじりだして…」
左目の視力は、この時に失った。クマの恐ろしさは、誰よりも知っている。ワナを置くのは、人里と森の境界。
原田さん
「森林と畑の境界に、(ワナを)かけようと」
境界を踏み越えたクマ。山奥に放しても、また戻ってきてしまう。最期は、せめて一瞬で。
相次ぐクマの被害を受けて、対策の強化に乗り出した秋田県。県内には、約4400頭のツキノワグマが生息しているといわれている。
獣医師の免許を持つ、近藤麻実さん。積み重ねた知識と経験を武器に、いま、クマ対策の最前線に立っている。
近藤さん
「すぐ背後にクマがいるみたいなところが、全てのベースにある気がしています。お互いの空間が重なり合っている。隣接どころか、重なり合っているのが今だと思います」
人口減少で人の気配が消えたことで、クマの行動も大胆になっていると近藤さんは考えている。
近藤さん
「ヒトの近くに暮らしているのが、常態化してきていることで、ヒトへの警戒心・距離感がよく分かっていない。警戒心の薄すぎるクマが増えているのかなと思っていて」
調査のために、現場を訪れた。
クマに襲われた男性
「ここに(クマが)いたのよ。開けた途端に目が合ったわけ。クマも俺を見ていた。目と目が合ったんでよ」
体長1.5メートルほどのツキノワグマに襲われた男性。
クマに襲われた男性
「襲われている間は、顔と頭に執着していましたね。執ように頭と顔を攻めてくる感じで。頭蓋骨が10センチくらい開いていましたんで」
車庫の中にあったクマの糞を回収して内容物を調べたところ、ほとんどが「ソバの実」だったことが分かった。
近藤さん
「国が進めていく政策の中に、田んぼを麦にかえる、ソバにかえる、飼料用のトウモロコシにかえる。全部、クマは食べるんですよね」
北海道の猟師・原田さん。弟子の藤嶋さんを連れて向かったのは、鳥獣の魂をまつる石碑。
原田さん
「クマは憎まないです。だけど、身近に来たものについては、自分が捕ってやらなければ、地域の安全は保てないなと」
クマがマチに現れる。まさに、緊急事態。
2024年7月21日放送 NNNドキュメント’24『クマージェンシー~ヒトとクマの距離感~』をダイジェスト版にしました。
最終更新日:2024年9月21日 16:10