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【NNNドキュメント】左目失った人も… 街をさまようクマ 人との共生のあり方は NNNセレクション

2024年9月21日 16:10
【NNNドキュメント】左目失った人も… 街をさまようクマ  人との共生のあり方は NNNセレクション
山から飛び出し、街をさまようクマ。緊急事態にヒトはどう対処するべきか。襲われて左目を失いながらも、ヒグマと向き合い続ける猟師。ヒグマ研究者からクマ専門員に転身した女性は、最前線でツキノワグマ対策にあたっている。ヒトとクマの距離感、共生の姿を考える。

◇◇◇

「いた!」

日本最大級の野生動物「ヒグマ」。 大きい個体で体重は約250キロ。2021年。札幌市の住宅街に、1頭のヒグマが日夜出没。住民を恐怖に陥れた。人を恐れる様子は、全くない。

カメラマン
「クマ! クマがいる! 中入って!」

大きく変わってしまったヒトとクマの距離感。

記者
「人が倒れているのが見えます。クマですか?」

救急隊員
「クマの情報です」

襲われたのは40代の男性。札幌駅から4キロほどの住宅街で、あわせて4人が重軽傷を負った。“慣れない街”に迷い込んだクマが、パニックに陥ったと考えられている。

原田さん
「クマの場合は緊張しますよ」

狩猟歴、50年以上の原田勝男さん。

クマの行動を熟知し、これまでに捕まえた数は100頭を超える。原田さんを駆り立てているのは、24年前の記憶。

2000年。シカ猟のため山に入った原田さんは、突然クマに襲われた。

「おい、大丈夫か?」
「酸素ボンベない?」

原田さん
「鉄砲をとられて、転ばされて、その上にクマがかぶさってきた。そして、かじりだしたんです。ガリガリかじりだして…」

左目の視力は、この時に失った。クマの恐ろしさは、誰よりも知っている。ワナを置くのは、人里と森の境界。

原田さん
「森林と畑の境界に、(ワナを)かけようと」

境界を踏み越えたクマ。山奥に放しても、また戻ってきてしまう。最期は、せめて一瞬で。

相次ぐクマの被害を受けて、対策の強化に乗り出した秋田県。県内には、約4400頭のツキノワグマが生息しているといわれている。

獣医師の免許を持つ、近藤麻実さん。積み重ねた知識と経験を武器に、いま、クマ対策の最前線に立っている。

近藤さん
「すぐ背後にクマがいるみたいなところが、全てのベースにある気がしています。お互いの空間が重なり合っている。隣接どころか、重なり合っているのが今だと思います」

人口減少で人の気配が消えたことで、クマの行動も大胆になっていると近藤さんは考えている。

近藤さん
「ヒトの近くに暮らしているのが、常態化してきていることで、ヒトへの警戒心・距離感がよく分かっていない。警戒心の薄すぎるクマが増えているのかなと思っていて」

調査のために、現場を訪れた。

クマに襲われた男性
「ここに(クマが)いたのよ。開けた途端に目が合ったわけ。クマも俺を見ていた。目と目が合ったんでよ」

体長1.5メートルほどのツキノワグマに襲われた男性。

クマに襲われた男性
「襲われている間は、顔と頭に執着していましたね。執ように頭と顔を攻めてくる感じで。頭蓋骨が10センチくらい開いていましたんで」

車庫の中にあったクマの糞を回収して内容物を調べたところ、ほとんどが「ソバの実」だったことが分かった。

近藤さん
「国が進めていく政策の中に、田んぼを麦にかえる、ソバにかえる、飼料用のトウモロコシにかえる。全部、クマは食べるんですよね」

北海道の猟師・原田さん。弟子の藤嶋さんを連れて向かったのは、鳥獣の魂をまつる石碑。

原田さん
「クマは憎まないです。だけど、身近に来たものについては、自分が捕ってやらなければ、地域の安全は保てないなと」

クマがマチに現れる。まさに、緊急事態。


2024年7月21日放送 NNNドキュメント’24『クマージェンシー~ヒトとクマの距離感~』をダイジェスト版にしました。
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