東京都が「マッチングアプリ」開発中──20代「安心できる」 独身証明書が必須 “思わぬ出会い”AIで?【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「東京都がマッチングアプリ開発」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●東京都が開発 どんなアプリ?
●自治体が後押し メリットは?
「東京都が、婚活を後押しするため独自のマッチングアプリの開発を進めています。10日に都庁で開かれた、第1回結婚おうえん TOKYO ミーティング。小池都知事のほかマッチングアプリや結婚相談所などの関係者が出席し、結婚業界の課題について話し合われました」
小池都知事
「都は希望する誰もが結婚して子どもを産み育てられるように、出会いから結婚・出産・子育てまでシームレスな支援を行っているところです」
加納解説委員
「都のホームページにあるアイコンには『TOKYO ふたり STORY』と書かれています。題して『AI マッチングシステム』ということで、AIが婚活を後押ししてくれるというものです。AIが価値観診断テストをもとに、相性のいい人を紹介してくれます」
「都は、見た目や条件だけでは測れない、思わぬ出会いをもたらすかもしれないと説明しています。システム自体は去年12月から先行利用が始まっていますが、今年夏ごろの本格稼働を目指しているということです」
斎藤佑樹キャスター
「東京都がやっているから安心して使いたいという人も多くなりそうですが、そもそも誰でも登録できるものなんですか?」
加納解説委員
「登録に必要な条件があります。結婚を希望する18歳以上の独身で、東京都内に住んでいる、もしくは勤務・通学していること」
「そしてアプリの登録には名前・生年月日・最終学歴・年収などを入力するほか、免許証や年収を確認できる源泉徴収票・顔写真・独身証明書が求められます」
鈴江奈々アナウンサー
「独身証明書というのは、公式に発行されるものがあるんですか?」
加納解説委員
「そうなんです。本籍がある自治体で発行してもらえます。既婚者が紛れ込むトラブルを防ぐためにも必要ということです」
加納解説委員
「登録した後は入会するためのオンライン面談を行います。プロフィールや自己PRなどをマイページに入力し、価値観診断テストを受けると、AIがお相手を紹介してくれます。その後は実際に会って交際をしてご成婚。こうしたステップになると、都は紹介しています」
河出奈都美アナウンサー
「結構しっかりしているんですね。気になるのは、利用するのにお金がかかるのかどうかです」
加納解説委員
「料金については未定ですが、有料とすることも視野に検討しているということです」
加納解説委員
「都が独自のアプリを開発する背景にあるのは、やはり少子化の問題です。女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が5日に発表され、東京都は去年0.99と全国で初めて1を下回りました」
「こうした現状を改善したいと、都が新たにアプリ開発に乗り出したということです。マッチングアプリについてはこんな調査もあります」
加納解説委員
「明治安田生命が『いい夫婦の日』に関する調査で、去年10月の時点で1年以内に結婚した夫婦に質問しています。『出会いのきっかけは何ですか』と聞いたところ、最も多かった回答が2つあり、『職場での出会い』(25%)と同率の『マッチングアプリ』でした」
「今や4人に1人がマッチングアプリで出会う時代です」
斎藤キャスター
「意外でした。びっくりしました」
森圭介アナウンサー
「とは言えSNSでコミュニケーションをとる時代ですから、時代に沿っているのかなと思います」
鈴江アナウンサー
「周りでも『やっている』という声は割と聞きますし、身近になっていますよね」
加納解説委員
「マッチングアプリを民間ではなく自治体が主導で提供することに、どんな意味があるのでしょうか。11日、東京・新宿区で聞きました」
アプリ使用経験のない28歳
「安心できます。自治体が関わってくると安心できる」
アプリ使用経験のない20代
「公営でやってもらった方が、より安心感は高まるかなと。情報を入れる手間があることで、ダメな使い方をする人も減るんじゃないかなと思います」
アプリ使用経験のある29歳
「民間のものよりは安心して始められそうなイメージはありますね。500円とか1000円とか、その辺だったらいいかなと」
河出アナウンサー
「(登録の条件には)独身証明書の提出が必要になるなど、安心感はありますよね」
加納解説委員
「登録するのに手間がかかるという考え方をする人もいらっしゃるようですが、その分、信頼度が高いというメリットがあるようです。家族社会学者の中央大学・山田昌弘教授に聞きました」
「今の若者はコスパやタイパを求めることからマッチングアプリがこれだけ浸透している一方で、アプリの中には料金が安い分、安全対策が万全ではなく、既婚者が遊びで登録するなどトラブルも多いといいます」
「逆に、安全で真剣に結婚まで進みたい人に限定したものは料金が高い上、条件が厳しいそうです。この条件というのは男性の場合は収入、女性の場合は年齢なんだそうです。この安全・料金・条件を自治体がサポートできる可能性があるとのことです」
加納解説委員
「愛媛県では2015年から、その人の行動履歴に基づいておすすめの人をAIが知らせるシステムを導入しています。自分で選ぶと同じ好みの人ばかり見てしまうと思いますが、AIだと『こういう人の方がいいんですよ』とおすすめしてもらえるそうです」
森アナウンサー
「自分が知らない自分が分かるんですね」
加納解説委員
「こうしたシステムの効果によって、年間で100~150組が成婚しているそうです」
河出アナウンサー
「このアプリのおかげで新しいカップル、家族が生まれていると思うと、マッチングアプリすごいなと思います」
加納解説委員
「山田教授は『東京都のAIアプリは、ほかの自治体がこれまで培ってきた膨大なデータを活用できるため、より効率よく出会いを提供できるのではないか』と話しています」
鈴江アナウンサー
「利用してみたいなという気持ちはありますか?」
河出アナウンサー
「実際に利用するかどうかは分からないんですけれども、どんな人がアプリの先にいるのかという不安や、登録にあたって自分の情報を出していいのかななど、いろいろあると思うんですけど、しっかりこうやって管理してもらえる方が私は安心かなと思いました」
鈴江アナウンサー
「昔はお見合いという仕組み(主流のものとして)がありましたが、令和の時代はAIがその機能を担ってくれるのかなと思うと、こういうのも1つの形かもしれないですね」
加納解説委員
「山田教授は『そもそも若い人の経済格差が、未婚化・少子化の主な原因。結婚だけでなく出産・子育てに至るまで格差をなくす抜本的な改善が必要』と話していました」
(2024年6月11日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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