第2波と闘う病院の感染対策 検査も強化
緊急事態宣言が解除されても、病院では緊張状態が続きます。新型コロナウイルス感染拡大の「第2波」に備えてさまざまな対策を始めているところもあります。
■第2波を防ぎたい 病院の感染対策
院内感染が起き、患者や医療関係者ら43人の感染が確認された都立墨東病院。5月20日から通常診療を再開していましたが、5月25日に感染防止策についての映像を公開しました。
病室に設置された、ロボットのような、UFOのような不思議な装置。突然光り出した装置から放たれているのは紫外線です。病院によると、人体に影響があるほどの強い紫外線を当てることで、付着しているコロナウイルスを除去できるといいます。
職員の食堂には飛沫防止のための仕切りを設置。職員同士の食事中の会話が、院内感染の原因となった可能性が指摘されているためです。
■解消されつつある「病床不足」
新型コロナウイルスに関連する患者345人が入院していた、東京医科歯科大学付属病院でも感染対策が進められています。最も多いときは1日に36人が入院したこともあったといいます。
これは5月22日に撮影された新型コロナ患者病棟の様子です。照明が落とされた、薄暗い病室。並べられたベッドに人の姿はなく、現在の入院患者は15人まで減りました。
厚労省などによりますと、東京都の病床使用率は14.3%。医療崩壊のポイントとされた病床の問題は感染者の減少とともに解消されつつあるように見えます。
■すべての入院患者にPCR検査
しかし、新たな懸念が。東京医科歯科大学の臨床検査医は「本来は難病やがんの治療をする病院ですので、新型コロナ患者が減るのと反比例して、それ以外の患者さんがどんどん入院してきます」と話します。
東京医科歯科大学 臨床検査医「新型コロナウイルスとまったく無関係の病気で入院した患者さんの中にも、新型コロナウイルスを潜在的に持っている患者さんがいる可能性がある」
そこでこの病院が始めたのは、入院患者全員のPCR検査。もし、別の病気の入院患者が無症状のまま新型コロナに感染していた場合、院内感染を引き起こしてしまうリスクがあります。そこでPCR検査を行ったところ、これまでに検査したおよそ400人すべてで陰性が確認されているということです。
東京医科歯科大学 臨床検査医「(宣言解除で)気を緩めてしまうと、院内感染とかクラスター発生とかがどうしても起きてしまうことは容易に想像つきますので、PCR検査はこれから緊急事態宣言解除後も必要だと思ってます」
第2波に備えて実際に検査にあたることができる臨床検査技師の数を増やすなど、態勢を強化するとしています。
※2020年5月25日放送『 news zero』より