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DV被害者「10万円」受け取り難しいワケ

2020年6月9日 20:20
DV被害者「10万円」受け取り難しいワケ

給付の遅れが指摘されている、国民1人あたり10万円の特別定額給付金。

さらに、DV被害を受けている女性など、本当に必要な人が受け取れないケースも発生しています。

一体なぜでしょうか?

■“宛先不明”・・・給付が約2割にとどまる

給付を待つ人々にできる限り早く届けるため、8日も東京・練馬区役所では作業が進められていました。練馬区では、約38万世帯のうち、すでに8割近い世帯から申請が届いているといいます。そんな中・・・

練馬区役所 特別定額給付金担当課 課長
「申請書を送らせていただいたんですけど、郵送後戻ってきてしまった分、約1800通入っています」

送った申請書が“宛先不明”で戻ってきたというのです。

練馬区役所 特別定額給付金担当課 課長
「実際には住んでないのか、住んでいるけど郵便が届かなかったのか」

戻ってきた申請書についても個別に対応する必要があるため、手間がかかるといいます。

練馬区役所 特別定額給付金担当課 課長
「1日も早く届けたい中で、進みがスムーズにいかない部分があるのは申し訳なく思っています」

政府の肝いりで始まった10万円の一律給付。6月3日時点で、給付が完了したのが総世帯数の約2割にとどまっていることが分かりました。

■申請諦めるDV被害女性も

国民に一律で給付されるこの制度ですが『受け取ることが難しい』ケースも出ています。

「生きてるから人間としてここに。もらえる人、ともらえん人がおるのは、そもそもおかしいから。勝手に振り込んで欲しいよな。手続きとかなく」

こう訴えるのは、パートナーからDV被害を受け、保護されているという女性。

10万円給付の申請書がパートナーの元に届くため、申請をためらったといいます。こうした人たちのための制度があります。

住民票と別の住所に避難しているDV被害者の場合、DVが理由で避難していることを証明する書類などを提出すれば自身で受け取ることができます。

しかし、この申請に必要な身分証も置いたまま逃げてきたために、申請が難しかったというのです。

DV被害を受ける女性
「身分証を作るところから始めると時間かかって、結局自分の10万円が受け取られてしまったら…」

さらに、この女性は別の住所で10万円を受け取ったことをパートナーが気づいた場合、避難先まで探すきっかけにならないかと恐れたというのです。

ただ、女性は支援してくれている団体によって、なんとか申請ができ、給付を待っているということです。

DV相談などを受ける社会福祉士は・・・

社会福祉士
「10万円が(パートナーに)入ってこないということは、どこかで(女性が)生きているとばれてしまうわけで。居場所をしつこく突きとめられたりとか、さらに暴力性が高まるというケースもたくさんあるので。だったらもう10万円はいらないから相手との接触を極力避けたいという方が一定数いる」

この状況を避けるには、世帯ごとの振り込みではなく、個人へ振り込まれる制度にすべきだと指摘しています。

2020年6月4日放送 『news zero』より