乗り方次第で……エスカレーターは「危ない乗り物」に 薄いスカートやサンダル…“夏場”に注意ナゼ 巻き込まれたら?
都内のスーパーで12日、エスカレーターに乗っていた80代の女性が転倒し、首を挟まれて死亡しました。エスカレーター事故の原因は、手すりを持たない、歩くといった「乗り方不良」で、夏場の服装にも要注意です。巻き込まれた時にできることを考えます。
東京・西東京市のスーパー「オーケー東伏見店」。点検中となったエスカレーターの近くには、使用できないことを伝える紙が貼られていました。
このスーパーで事故が起きました。通報は「エスカレーターの降り口に首が挟まっている。意識がないようだ」というもの。買い物客とみられる80代の女性がエスカレーターに首を挟まれて病院に搬送されましたが、その後死亡が確認されました。
事故直後を見た人
「エスカレーターのところに警官・消防・レスキューがいた。その後もどんどん来る。サイレン鳴らして」
警視庁などによると、事故が起きたのは1階から地下1階の食品売り場につながる下りエスカレーターです。
高齢者が買い物などに使う手押しのカートを押しながらエスカレーターに乗っていたという80代の女性。しかし何らかの理由で転倒し、エスカレーターの降り口の手すりと床の間に、仰向けの状態で首を挟まれたということです。
スーパーを運営する「オーケー」は、事故が起きたエスカレーターは今年3月の開店時に設置されたもので、事故当時故障していたという情報はないとしています。
利用客
「幅は狭いですけど、どこのエスカレーターともそんなに変わりはないかなという感じ」
別の利用者(80代)
「不安はなかったです。同じ年代の女性が事故に巻き込まれたということになると、ひとごととは思えません。自分もしっかり気をつけなきゃと思います」
以前、手押しカートを押しながらエスカレーターを降り、転倒しそうになったという利用客(80代)もいます。「下る時に、カートをおろして(降りていた)。その時に(段差で)ちょっとつまずいて、とっとっとって…。危ないですね」と振り返ります。
警視庁はなぜ女性が転倒したのか、当時の状況を詳しく調べています。
藤井貴彦キャスター
「今回の事故の原因は分かっていませんが、一般社団法人日本エレベーター協会によると、2018~2019年の2年間で起きたエスカレーターの事故は、1550件に上ります。2003~2004年は674件で、増加傾向にあります」
「1550件の事故の原因の半数以上である805件を占めているのが、乗り方不良です。手すりを持っていない、止まらずに歩いていたことなどが原因となっています。私たちができることを考えます」
「まず知っておいていただきたいのが非常停止ボタンです。エスカレーターの側面や下の方にあります。エスカレーターの安全を研究する、文京学院大学の新田都志子名誉教授によると、エスカレーターにはこうした非常停止ボタンが必ず設置されています」
「もし自分や誰かがエスカレーターに巻き込まれた場合、乗り降りする近くにこのボタンがあるので、周りの人を呼ぶよりも前にこのボタンを押すのが大事だということです」
「新田名誉教授は『日頃からこのボタンの位置を確認してほしい』と話しています。このボタンを実際に押す時には『今から止めます! ボタン押します!』などと周囲に声をかけ、乗っている人が転ばないようにしましょうということです」
藤井キャスター
「私たちが気をつけるのはもちろんですが、自動停止するシステムもありそうですよね?」
小栗委員長
「異常が起きた時に自動停止するシステムは既にあります。今回の事故とは別のメーカーですが、例えば日立ビルシステムの場合、サンダルくらいの厚さや堅さのある物が挟まった場合、止まるようになっているということです」
「ただ、薄いスカートなどだと異常が検知されにくく、止まらない場合もあるそうです。そうした時は非常停止ボタンを押してほしいとしています」
「これからの季節、サンダルや、薄いひらひらしたスカートなどをはく機会も増えると思いますので、挟まらないように、必ず黄色い枠線の中に立つようにしましょう」
「日立ビルシステムの担当者は『エスカレーターは乗り方次第で安全ではなく、危ない乗り物と認識してほしい』と話していました」
小栗委員
「もう1つ大切なのが、乗る時は立ち止まるということです。日立ビルシステムが来年の大阪・関西万博に合わせて開発したエスカレーターでは緑色のLED照明で段差が強調され、ステップの部分には立ち位置を示す照明が2つあります」
「つまり、片側空けをせずに2人並んで乗り、立ち止まって利用するよう促すためということです」
藤井キャスター
「エスカレーターで危ない経験をしたことはありますか?」
板垣李光人さん(俳優・『news zero』水曜パートナー)
「小学生の頃、降り際にサンダルが巻き込まれてしまい、サンダルだけ脱げて怖い思いをしたのを覚えています。今もパンツの裾が地面につきそうな時は手で持って乗るように気をつけています。長いスカートなどをはいた方を見て危ないな、と思うこともありますね」
藤井キャスター
「エスカレーターを利用される方は、どこに非常停止ボタンがあるのかを確認してください。これは自分の命を守るだけではなく、誰かの命を守ることにもつながります」
(6月12日『news zero』より)