【解説】鶏肉を洗ってはいけない?…梅雨と食中毒 6月は1年で“最多”の感染者数 電子レンジの「加熱ムラ」にも注意
13日も湿度が高く、ムシムシしていますが、そんな梅雨の時期は食中毒に注意です。
◇6月は食中毒“最多”
◇鶏肉は「洗わない」
◇電子レンジ加熱のコツ
以上の3点について詳しくお伝えします。
日本気象協会が、「蒸し暑さを表す不快指数」を4月から9月限定で毎日発表しています。数字が大きいほど「蒸し暑く不快」ということを表しています。
13日10時発表の段階で東京は「78」、名古屋が「80」、福岡は「81」となっています。80以上が、だいたいの人が不快に感じる目安だといいます。
この時期、あわせて気をつけなければならないのが「食中毒」です。福岡市では今月2日、高齢者施設で集団食中毒が発生し、入所者や職員合わせて18人が、下痢や発熱の症状を訴えたといいます。
90代の入所者の女性が急性胃腸炎で亡くなり、便からは「病原性大腸菌」が検出されたということです。
福岡市は夕食が原因とみていて、発症した人たちが共通して食べていたのが、前日の夕食に出された「鶏肉のトマト煮」「カリフラワーのいため物」でした。
■梅雨どきから夏場にかけて注意したい食中毒の種類は?
この時期に起こりやすい食中毒について、どんなことに気をつけているのかを街で聞きました。
20代
「(食べ物を)外に持って行くときは、ぎりぎりまで冷たいように保冷剤とかを入れて持ち運んでいます。食中毒とかは怖いので」
30代
「(子どもの)遠足のときはお弁当ありますけど、その時は、入れるものは気をつけるようにしています」
全国で報告された食中毒の発生状況は、厚生労働省が「食中毒統計資料」をもとに作成した、去年までの5年間の月別の発生状況の平均を見てみると、6月が1946人とダントツで多いです。やはり、この時期は食中毒注意という感じですが、食中毒の原因にはどんなものがあるのでしょうか。
去年1年間の患者数を見てみると、1位はかきなど二枚貝が原因で起こる「ノロウイルス」。2位は「ウエルシュ菌」、カレーなど煮込み料理を長時間放置して発生することが多い食中毒(の菌)です。3位は「カンピロバクター」、十分加熱されていない鶏肉料理が原因の食中毒が多発しています。そして、4位は肉や卵が原因で起きる「サルモネラ属菌」。5位は魚介類に寄生する「アニサキス」という順になっています。
特に、梅雨どきから夏場にかけて気をつけたいのがウエルシュ菌、カンピロバクター、サルモネラ属菌といった細菌性の食中毒です。
例えば、鶏肉を調理するときに気をつけることがあります。
農林水産省が勧めている対策ですが、まずは「しっかり手洗いする」、そして「まな板などの調理器具を清潔に保つ」です。調理する時、生肉がほかの食材、特に生で食べる野菜や果物などと接触することを防ぐために、調理器具を分けるか、肉は最後に切るとよいそうです。
さらに呼びかけているのが、「鶏肉を洗わないで!」です。肉から出る赤い汁が気になって洗う人もいると思います。肉を洗った時の水がキッチンや周りの食材にはねると、一緒に飛び散った食中毒菌によって汚染される可能性があります。赤い汁が気になる時は、キッチンペーパーなどでふき取る方がよいということです。あとは、お肉の中心が白くなるまで、よく加熱しましょう。
最近は電子レンジで調理する人も多いと思いますが、温める時に要注意なのが「加熱ムラ」です。電子レンジを用いた加熱では、中心部分が温まりにくい食品もあります。たとえば、さけの塩焼きを電子レンジで2分間、再加熱したものをサーモグラフィーで見ると、中心部は青や緑になっていて「加熱ムラ」ができていました。このように、食品が大きい塊だと均一に温まらないこともあります。
あるいは、途中でひっくり返す・混ぜる、一気に電子レンジで温めようとせずに途中で止めてひっくり返すといいそうです。煮物やカレーなどは途中で2~3回混ぜると熱が均一になるそうです。ただ、これが面倒くさいという人は、低いワット数で少し長めに温めるといいそうです。800ワットで一気に温めるのではなく、500ワットで少し長めにじんわり温めるとムラができにくくなるそうです
容器ですが、丸い容器のほうがいいといいます。四角い容器だと角ばかり加熱されて、中心が温まりにくいそうです。丸い容器に入れて温めましょう。
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食中毒が起きやすいこの季節。この時期に多い細菌性の食中毒に十分気をつけながら、じめじめした梅雨を元気に乗り切りましょう。
(2023年6月13日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)