新宿を避けて池袋・渋谷へ…夜の街の苦悩
東京の8日の感染者は75人で1週間ぶりに100人を切りました。新宿を中心に“夜の街”での感染確認が相次ぐ中、池袋のある豊島区は独自の休業要請の方針を発表しています。池袋や渋谷の店からは、新宿エリアから人が流れてきているという声も。“夜の街”の苦悩を追いました。
■埼玉でも“夜の街”にクラスター
8日、48人の感染者が確認された埼玉県。そのうち、22人を占めたさいたま市の会見では…。
「11人の陽性者を出したホストクラブが発生いたしました。これもまた重く受け止めているところ。クラスターのひとつになったという認識です」
感染者はホストクラブの従業員で、客への検査の手配も進めているといいます。
一方、東京では――。8日午後6時ごろに行われた会見で、小池知事から感染者数について。
「75人の感染者数となっています。20代30代がやはり多いことから、50件、(全体の)66%になります」
7日ぶりに100人を下回った都内の感染者。会食で感染した人が7人、職場で感染した人が4人。そして、“夜の街”の関係者は24人。ただ、“夜の街”関係者の集団検査の結果は含まれておらず、都は警戒を続けています。
■イメージ悪化を危惧する飲食店関係者
東京・歌舞伎町のオイスターバー「オイ・スタ」では、マスクを着用し、客への消毒を徹底するなど、感染対策を続けながら営業していますが、6月の売り上げは去年の半分程度。
店長「歌舞伎町が悪いイメージになっちゃっている気がするんですよね。愛する仕事場の街。歌舞伎町はずっと長いので、また元に戻ってほしいだけですよね。年配の方も若い方もみんな楽しめる街なので」
40年近く歌舞伎町の飲食店を見続けてきた、新宿社交料理飲食業連合会の根本二郎会長はこう語ります。
「きょう(8日)、会議で聞いたら(店を)何軒も閉めていると言っていましたね。みんなコロナ対策をやっているわけですよ、一生懸命ね。だけども、やっぱり怖い街っていうのが先行しちゃうのは残念」
■池袋で独自の休業要請 それぞれの反応は
こうした中、豊島区長は池袋のすべてのホストにPCR検査をうながし、クラスターが発生した場合は区が独自で休業要請を行う方針であることを発表。都は全面的に支援するとしています。
しかし、西村経済再生相は衆院・内閣委員会で次のように発言し、政府は慎重な立場を示しました。
「仮にどこかのエリアに限定して休業要請をやると、お客さんは違うエリアに行ってしまう可能性もあります。それから、そこで働いている方々もチェーン店などありますので、仮に新宿がダメなら池袋とか、六本木とか、渋谷とか、ほかの店で働くということもありますので、逆に感染を拡大させていくことにもなりかねません」
このことについて、日本水商売協会の甲賀香織代表理事に話を聞くと。
「池袋が休業になったとしても生活できないホストの方々がいる以上、ほかの地域に移動されて働く可能性がある。特に新人さんなどは生活が厳しい状況にあります」
実際に池袋のガールズバーの従業員からはこんな声が…。
「『新宿を避けて池袋に来た』という客の話は聞いたことがある」
池袋の複数の店が、すでに新宿エリアから客が流れてきていると話します。
渋谷にあるキャバクラの店長も…。
「『新宿はやっていない店が多いし、たまには渋谷に来てみようかな』という方々がいらっしゃると、やはり新宿・池袋あたりの(感染の)話を耳にして、地域を変えようとした方もいらっしゃるのではないかと思います」
■「東京から広げない」で地元に帰れない
そして、感染を東京から広げないよう、都が都民に呼びかけているのが、不要不急の他県への移動自粛。
東京・銀座にある熊本のアンテナショップ「銀座熊本館」では、その影響を受けていました。広報担当は次のように話します。
「熊本県の東京事務所のスタッフが常駐しておりまして、手伝いに駆けつけたくても、やっぱりできない」
大雨で被害が出ている熊本県のアンテンナショップ。地元に帰ろうにもスタッフは東京を出られないといいます。
被災している地域の特産品を積極的にアピールするなどして支援しています。
広報担当「ボランティアに行きたくても東京からだと、なかなかはばかられる。東京にいてできることを一生懸命やっていきたいと思っています」
改めて、他県への移動自粛について小池都知事に聞くと。
「まだその話ですか。問題なく(政府と)連携しております。ですから、ご病気がある方とかは無理して出かけられない方がいいですよということですね」
(2020年 7月8日放送 news zeroより)